5年後の未来に紫苑が飛ばされていることが判明し、連れ戻すため、時をも越える瞬間移動を試みる輪。警察官になっていた中学時代の同級生、コウも巻き込んで、本能任せの瞬間移動を繰り返します。
しかし、ESPの調整バルブ役だった紫苑がいなくなってしまったため、飛び出す場所は高速道路の上だったり、海の中だったりと散々です。とうとう呼吸も止まり、コウに心臓マッサージされることになってしまいます。
意識を失った輪が迷い混んだのは、なんと『生死の境』という場所。そこにはなんと、前世での育ての親、ラズロとキャーがいたのです。
前世の記憶を思い出していく過程を描いた前作『ぼくの地球を守って』を読んだときから、大好きだったラズロとキャー。まさか、ぼく地球次世代編『ボクを包む月の光』の中に出てくることになろうとは、思ってもみませんでした。
おまけに、現世では縁もゆかりもないはずなのに、ラズロはちゃんと輪のことを知っていたから驚きです。
『生死の境』では、時間の感覚が曖昧なのか、ラズロとキャーの二人が事故死したのは、ついこの間の事なのだそうです。そして、その後の紫苑の生涯、果ては生まれ変わった輪のことも、不思議な池を通して見守ってくれていたのでした。
作中、感極まって輪が大泣きしていますが、私も泣きそうになりながら読みました。そして、出来ることなら、私ももふもふのキャーをハグしてみたいです。
『ボクを包む月の光』では、猫がよく出てきます。蓮が飼っているヒァーや、美女こと木蓮が扮する巨大猫など。中でもこのキャーは優しくて、いつもニコニコ、大人しくて力持ちで子守りに最適。ぜひ私も飼いたいです。
さて、輪がそうして『生死の境』でラズロやキャーと会っている頃、現実では蓮がノートパソコンをいじって、再び未来と繋ぐことに成功したのです。
5年後の自分と会話し、未来の妹の名前が、紫亜子から地球子に変わったことを確認した蓮。
一方、未来に飛ばされた紫苑も、名前が変わったこと、顔立ちが変化したことを不思議に思っていました。そして過去と繋がるノートパソコン越しに、まだ生まれる前の地球子と会話するのです。そして、彼女に言われるままに、未来の地球子に触れたとたん、二人は何処かへ飛ばされてしまって…という、とても気になるところでこの巻は終わります。
過去と未来が交錯することで、運命が変わっていく感じがたまりません。
そして、出会うはずのない人と会うことができるなんて、本当に感動した巻でした。