このマンガはまず、始まり方が面白くて続きが気になる感じでよかったです。
主人公は小日向あゆみという、とてもかわいらしい高校生で、ずっと両思いだった幼なじみから告白されて付き合いはじめたばかり、というまさに幸せの絶頂といったところでした。
そしてあゆみと恋人になった公史郎の初デートの日に、目立たない存在のクラスメートである海根然子(ぜんこ)から電話が掛かってきます。
私今から死ぬから、などと然子が言い出しあゆみが空を見上げると、ビルの屋上に腰かけている然子の姿が。そして屋上から落ちていく然子。
あゆみがあっと驚いている間に気絶して、気がつくとあゆみは病院のベッドの上にいました。
そしてもっと驚くべきことに、あゆみが鏡を見ると然子の姿になっていたのです。
この辺りのシーンは、初めて読んだ時はとてもハラハラしました。
翌日あゆみが登校すると、然子があゆみの姿になっていました。
実は然子はずっと公史郎のことを好きで、赤月の町の言い伝えを利用してビルの屋上から落ちることであゆみと入れ替わったことが後からわかりますが、1巻の雰囲気ではあゆみが然子に体を乗っ取られたような雰囲気でした。
この辺りが、他の入れ替わりものとは一味違っていると思いました。
あゆみは優しい両親や恋人に恵まれていて、対する然子はお世辞にも容姿に恵まれているとは言えなかったり。
然子の姿になったことであゆみの生活も一変しますが、それでもあゆみは自分の体を取り戻すことを決意して、なかなか気持ちの強い子なんだな、と思いました。
その時、なぜかあゆみの元に飛んできたインコがかわいかったです。
公史郎も友達も、然子の姿となったあゆみの話をまともに取り合ってくれないと言ったシーンがありましたが、クラスメートの火賀俊平があゆみと然子の入れ替わりに気がつくようになります。
俊平がクラスメートの前であゆみをかばうシーン、あゆみにどうして入れ替わりに気づいたのか聞かれ、どんな姿でもお前はお前だからな、と言うシーンが見せ場で、すごく魅力的でした。
俊平が気づいてくれたことであゆみが元気を取り戻すようになってよかったです。
この頃には、然子の姿ではコンプレックスの顔を隠すような長い黒髪を俊平のプレゼントしたバレッタで留めたところ、他のクラスメートにかわいい、と話しかけられたり、少しずつ状況も変わっていくようでした。
この作品は全3巻あり、作者の川端志季さんの初連載です。
それを知った時、話の面白さや着想に感心したことを覚えています。
やはり第1巻がワクワクしてとても面白かったです。