なみだうさぎ ~制服の片思い~ 水瀬藍さん、最終話 完結10巻 感想
※ネタバレ注意です※
なみだうさぎという漫画にふさわしい、とてもピュアで純粋な最終回でした。
特にこの漫画の中で好きだったのは、登場人物たちの心情変化だったので、ここに重点を置いて話していきたいと思います。
まずは、天野くんの存在は欠かせないと思います。
天野くんほど健気で素晴らしいキャラクターはいないのではないかと思います。
誰よりも真っ直ぐで、そして優しかったです。
優しすぎる彼が、ずっと主人公である宇佐美さんへの恋心を隠していたにも関わらず、最後の最後に告白したのがとてもぐっときました。
彼は、最後まで思いを告げずに、鳴海くんの恋を応援するものだと思っていました。
しかし、天野くんは宇佐美さんに好きだと伝えました。
それがとても人間らしくて、更にぐっと天野くんの魅力が引き立ったのではないかと思います。
読んでいて天野くんの報われなさにこちらまで胸が締め付けられるようでしたが、ようやく次の一歩へと踏み出せるのだと思うと、とても安心した気持ちになりました。
そして主人公の片思い相手である鳴海くん。
彼は真っ直ぐで素直で、とても綺麗な心を持ってはいますが、その優しさや頑固な部分から何度か空回りしてしまいました。
ですが、実は男らしいところもあり、顔を赤らめるシーンはとても可愛かったです。
また、宇佐美さんの誕生日を祝う時に、プレゼントとして指輪を送った姿は、とても絵になりました。
鳴海くんはとにかく瞳が綺麗です。
とてもキラキラとしていて、宇佐美さんを見つめる姿がかっこよかったです。
伏し目がちなアングルが、個人的にとてもお気に入りでした。
そして、主人公である宇佐美さんですが、最終回でかなり性格が変わったなと思いました。
最初はただ大人しくて、ウサギのように小さくてふわふわした感じだと思っていたのですが、途中から自分の意思を強く持つようになり、より魅力的なキャラクターになっていました。
また、天野くんを振るのもかなりの勇気が必要だったのではないかとも思うのです。
彼が今までどれだけ苦しんでいたのか知っているからこそ、振る方にもかなりの勇気が必要だったのではないかと思います。
そして、何より一番印象的だったのは、手紙のシーンだと思います。
宇佐美さんが最後に親友や鳴海くん、天野くんのために手紙を書きます。
それがキャラクターごとに綴られていくのですが、なんだかバックミュージックが流れてきそうな、映画のエピローグのように感じました。
手紙の一文一文が綴られた最後で、宇佐美さんと鳴海くんの結婚式が映ります。
そこに出てくる人々が、何を語らずとも、しあわせな人生を送っているのだな、と感じました。
天野くんの優しい微笑みが本当に素敵で、言葉を失ってしまいました。
作品のタイトルにあるように、切ない片思いの期間がとても長く、宇佐美さんがどれだけ影で泣いていたか知っているからこそ、2人が結ばれたことがとても誇らしく感じました。
なみだうさぎのなかでは、とにかくキャラクター1人1人を、大切に大切に描いていました。
映画のワンシーンを切り取ったかのような、とてもキラキラとした絵が素敵でした。
結婚式のシーンで教会があるのですが、色がなく白黒のはずなのに、チャペルが光を放って輝いているように感じたのです。
純白のベールと美しい青空。
それら全てが見えているかのようで、思わず目を見張ってしまいました。
宇佐美さんが一筋の涙をこぼしつつ、鳴海くんと誓いのキスをするシーンでは、ここに今までの全てが込められていたのではないかと感じました。
ハッピーエンドで、どのキャラクターにとっても幸せな、素晴らしい最終回だったと思います。
少し余韻を残しつつ、これから2人の幸せな時間が流れていくのではないかと思います。