恋をふたさじ　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『今までの私には』

『たった一人の家族と　　父母の遺した この家と』

『パソコンの小さな画面が 世界の全てだった』

『それ以外は何もいらないし それでいいと思ってた』

《ドサッ》

「い」

「た……」

〈が――――〉

〈す――　　す――――…〉

『この人達が現れるまでは』

〈ギャアアアアッ〉

「ったく…　十和子の奴 耳元で叫ぶことねーだろ」

「そーだよ たかが部屋 間違えたくらいでさあ…」

《ドーン》

「えー またゴハン これー？」

「待て 十和子！」

「お前いーかげん ちゃんとメシ作れよな」

《グイッ》

「うわっ」

「だったらあの人達を追い出してください 兄上！！」

「だいたい仕事終わるたびに なんで連れて帰ってくるんですか」

「そー言われても 先輩達にはいつも店で世話になってるしなあ…」

「じゃあせめて私に あの人達を近づけないでくださいよ！！」

「あ 蓮次」

「あのなあ みんな お前が思ってるより ずっといい人達なんだぞ？」

「違います 兄上はたぶらかされているだけです」

「おいっ 失礼だぞ！　だいたいオレに養われるお前が そんなこと言える立場かよ」

「なにおうっ　家事一切は私がやっているじゃないですか　　食事を出すだけマシだと思ってください」

「まあまあ 二人とも」

「朝からケンカしないで 仲良くしましょうよ　もう昼だけど」

「蓮次さん！」

「今日はごめんなさいね 昨晩みんな飲みすぎちゃって…　　もう間違えたりしないから 十和子ちゃんもこっちで一緒に食べましょうよ　ね」

《バンッ》

「こらっ 十和子」

「すみません 無愛想な妹で…」

「いいのよマキちゃん 悪いのは私達だし」

「後でちゃんと謝らなくちゃ」

「放っときなよ 蓮次　　あんな奴に気ぃ遣っても なんの徳も無いって」

「つーか　大げさなんだよ 部屋間違ったくらいでさあ　　あんなんと一緒に寝たって 襲う気も起きないっつーの」

「そーゆう問題じゃないでしょ…　マキちゃんの前で失礼よ」

「だってー マキはいい奴だけど あいつは態度悪くて嫌いなんだもん」

（こっちこそ あなたになんか好かれたくない！！）

（全く…あんな人達に頭を下げるなんて どうかしてます 兄上は……　　兄上さえ人質にとられていなければ 私だって言いなりになんてならないのに）

『なんとかしなければ このままでは兄上が あの人達色に染まってしまう』

（何か…何か弱点は無いものか）

『特に危険なのは』

『あの人だ』

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