溺れるナイフ、最終話 完結17巻 感想
※ネタバレ注意です※
溺れるナイフの最終話は、とにかく、ずっと鳥肌が立ったまま、いっきに読み終えてしまうような最終話でした。
最終話に限らず、溺れるナイフは絵のタッチや言葉が印象的で、少し恐怖を感じるようなハラハラドキドキした気持ちで読み進めるマンガだったのですが、最終話はその気持ちがさらに高ぶるような感じです。
コウちゃんと夏芽にどうなってほしいのかと言われると、素直にハッピーエンドとは言えないようなモヤモヤした気持ちはありますが、最終話で2人がまた再会したことは、正直にいうととても嬉しかったです。
出会うのも、やっぱりこの海だろうなと思ってたし、海の中の2人を見るのが好きだったのでそのシーンをまた見ることができたのも嬉しかったです。
ただ、びっくりしたのはカナのことでした。
カナのことは、私はあまり好きなキャラクターではなかったのですが、つらいことを経験したのに、コウちゃんのことが大好きなのに、2人が再会したことを喜んでいるのが読み手としてもとても嬉しかったです。
こんな子、実際にいるのかなぁ?と単純に思いました。
それを言うと、コウちゃんや夏芽みたいな子も実際にはなかなかいないと思いますが。
コウちゃんのことは、なんだかよく分からないというか、神秘的で掴みにくい、なにを考えているか分からないイメージだったのですが、最終話を見たら、意外に普通の男の子なのかな?と思いました。
思春期でいろいろと思い悩むことがあったのかなぁ。
高校生くらいの男の子は、みんなこんな感じではないのかな?と思いました。
そして、その意外と普通というコウちゃんへの印象もまた、なんだか親近感を感じて、嬉しい気持ちになりました。
なによりも、いちばん驚いたのと嬉しかったのは、2人が結婚したことです。
これは突然の内容だったので、読者はみんな驚いたのではないでしょうか?
こんなにサラっと描かれているのもまた、なんともいえない気持ちになります。
コウちゃんと結婚、とは書いていないけど、相手はコウちゃんで間違いないと私は思います。
コウちゃんじゃないと嫌だ、コウちゃんであってほしいという気持ちもありますが、資産家で幼馴染といえばコウちゃんだと思いますし。
2人の子供はどんな子供なんだろう?と想像するだけでワクワクしますし、結婚までに至った経緯や、それ以前に再会、妊娠、出産など、知りたいことが多すぎて、その部分のお話もいつかマンガにならないかなぁと少し期待しています。
でも、その部分を読者に想像させるからこそ、この溺れるナイフの最終話は深くておもしろい内容なのかな、とも思います。
個人的には、大友が好きだったので、最終話にもっと大友を出して欲しかったのと、大人になった大友のことも知りたかったなぁと思います。
まぁ、でも正直、老けたコウちゃんや夏芽や大友を描くのは絶対イメージが崩れるから、想像の中だけで置いといたほうがよさそうですね。
とにかく、全体的に最終話の感想としては、想像を超えるものでした。
期待も含めて、2人が再会することはなんとなく想像していたけど、まさかこんな展開になるとは思いませんでした。
逆にいうと、最終話に内容がギュッと詰まっていて、読んでいる目が回りそうになる感じです。
スリルもあるし、共感もあるし、喜びもあるし、なんだか読み進めるごとに心が動いて、すべてを読み終えた後はすこし息切れるやうな、放心した感じになりました。
それほど、この溺れるナイフの最終話は展開がすごく大きなものだと感じています。
このマンガがなにを伝えたかったのかは分かりませんが、私は若い世代の心の葛藤が描かれてるのではないかと思います。
そして、それが最終話では、そんな葛藤もいつかは落ち着くということが分かるような内容だと思います。
とにかくステキな作品でした。