すみれファンファーレ、最終話 完結6巻 感想
※ネタバレ注意です※
すみれの家に遊びに来ているすみれのおじいちゃん(お母さんのお父さん)がお友達の病院で診察してもらうと、何か良くない病気の気配があります。
自分の病気のことを理解したおじいちゃん、でも悲観することなく病気を受け入れて、すみれの家に帰ります。
その時のおじいちゃんのお土産がお友達と会うついでに立ち寄った縄文人になろう展の公式ストラップです。
なんと土偶の心臓がピカピカ光るストラップでとてもかわいい。すみれもその土偶がドックンドックンストラップをとても気に入りました。
おじいちゃんなのにそのチョイスがとても若々しくて良いです。すみれとのやり取りも和みます。
すみれもおじいちゃんが遠出しているすきに内緒の遠出をしてきておじいちゃんは重い病気になっている秘密、すみれは内緒で遠くまで出かけた秘密、お互いに秘密を持っています。
すみれの目下の心配は忘れたくない思い出、すてきなこと全部ちゃんと覚えていられるかです。
内緒で出かけた海の思い出を瓶に閉じ込めて蓋をしておけば、思い出忘れずにいられるかなと心配しています。
でも忘れちゃったら思い出の蓋があかなくなるのではないかと更に心配しています。
でもおじいちゃんが、あかなくなった思い出の蓋はそれを眺めて新しい物語を作ってしまえばいいんだよとすみれを安心させます。
いつでもすみれに適格なアドバイスができるおじいちゃん、いつも心配かけまいとほとんど家族(お母さん)には相談せずに親しい友達や親しい大人に相談して悩みや問題を解決してきたすみれにとっては、家族に相談して答えてもらえるという喜びと安心感をおじいちゃんから教えてもらったのではないでしょうか。
すみれのお母さんはシングルマザーですみれのために一生懸命コックさんとして働いているので帰宅は毎日遅いです。
すみれを無事に成人させてあげられるのかお母さんも不安でいっぱいです。
そんなお母さんが帰宅後ぎっくり腰になってしまって、おじいちゃん(お母さんのお父さん)に優しく手当してもらって昔のことを思い出します。
今の思い出、昔の思い出、これからの思いがみんなの心をいっぱいにしています。
お母さんはよしよしと頭をなでてくれたお父さんが普段と違う様子なので心配します。
家族って普段とちょっと違うって変化もなぜか気づいてしまうことがあるよなと思う、家族を感じさせる良い場面です。
翌日すみれとおじいちゃんはプールへ出かけます。
おじいちゃんは、お母さんのために一生懸命わがまま言わずに頑張っているすみれに自分の気持ちをちゃんと言うように伝えます。
それはすみれが一番言ってほしかった言葉だった気がします。
そんな中おじいちゃんがプールで倒れてしまって病院に運ばれます。
お父さんに弱音を吐いてお父さんに色々と励ましてもらうすみれのお母さん。
そんな様子をすみれもこっそり見ています。
すみれにはお父さんがいないのに。すみれはお父さんにそんな弱音を吐くことも出来ないのに。この場面がとても切ないです。
すみれは自分にはなんでこうやって泣いて弱音を吐ける、とりすがることの出来るお父さんがいないんだろうと憤っていると思います。
おじいちゃんは亡くなってしまいます。
すみれはお母さんをうらやましく思って、それでおじいちゃんが死んでしまったと泣いてしまうのですが、土偶ストラップが励ましてくれます。
そしてやっとやっとお父さんがいないことはさみしい、お父さんとずっと一緒に暮らしたかったと本音をお母さんに吐露することが出来るのです。
お母さんとすみれはやっと遠慮しあう仲から一歩前進するのかもしれないです。
これから心配事もたくさんあるだろうけど、二人で仲良く、本音を言えるようになったすみれと、時には意見をぶつけ合いながらたくさんの思い出を作っていけるのではないかと素敵な余韻で物語は終わります。
すみれの夢は小説家、悲しい思いもうれしい思いもみんなみんな栄養にして素晴らしい小説家になれる予感がします。
読後感も爽やかでこの年代の子供にも、この年代の子供を持つ親にも、もちろん色々な思いを経験して子供から大人になってきた今の大人にもお勧め出来る漫画です。