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結末

聖ロザリンド 最終回 ネタバレ注意

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聖ロザリンド、最終話 感想

※ネタバレ注意です※

まず、若干8歳にして、監獄とも呼ぶべき修道院から(結果的に)自力で脱出し、悪意のない殺人・自分ルールに基づく強盗殺人・あるいはロザリンドの行動を引き金とする事故的な殺人を繰り返しながら飛行機に乗り、遠く離れた自宅に戻ったロザリンドの行動力と執念には、驚きとともにうすら寒いような気持ちがします。

しかし、どうしても「心底怖い」と思えないのは、作中でも多くの大人たちを魅了した純真無垢な笑顔ゆえでしょうか。あるいは、「家に帰りたい」「お母さんに会いたい」という子供らしい一途な想いに感じるものがあるからでしょうか。聖ロザリンドを読むと、ロザリンドを「異常な殺人鬼」という一言で片づけていいのか、彼女の心は真っ白なのか真っ黒なのか、善や悪とは一体何なのか、といったことを考えてしまいます。

信心深く、神様へのお祈りを毎日欠かさず続け、人を思いやり、常に天使のような笑顔で人々に癒しを与えるロザリンド。そのことだけ考えれば、ロザリンドはとても「いい子」です。しかし、「いい子」なまま殺戮を繰り返すのだからどうしようもありません。彼女が起こす残酷な行いには常に彼女なりの理由があり、多くは「何々が欲しいから」という子供らしくも身勝手な理由でしたが、中には「こうすればあの子が喜ぶと思うから」といった善意に基づいた殺人もあるのですから、これから先彼女がまっとうな考え方をできるようになる可能性はかなり低いように思えます。だからこそ、最終回での父・バーナードの決断には、「悲しいけれどそれしかない」と思ってしまいます。ロザリンドの死を選ばざるを得なかったバーナードには、少し前、苦悩の末にロザリンドとの無理心中を図ったミケーネの気持ちが痛いほど分かっているでしょう。

ミケーネとバーナードの「ロザリンドに少しでも苦痛のない死を」と願う様子には胸が痛みます。我が子の死を願わなければならない両親の苦悩は、私の想像をはるかに上回るでしょう。なぜなら、読者としてもバーナードと同じく、ロザリンドの犯してきた罪は重くても、ロザリンド自身に罪があるとはとても思えないからです。ロザリンドが殺意に近い(しかし決して殺意とは異なります)気持ちから行動したのは、最後にマギーの舌を切り取ったときのたった1回だけ。それ以外は、すべてロザリンドの無垢な心による行動だったのですから余計に、ロザリンドの死は避けては通れません。

最後の頼みの綱であった、修道院に閉じ込め生きて罪を償うという道は、ロザリンド自身の手によって絶たれました。そんなロザリンドを楽に、そして確実に死に至らしめるべく、彼女の手を引いて雪山を登るバーナード。途中からは抱き上げ、これから死にゆく彼女を温めながら進むさまに、悲しみは加速していきます。

そして、「向こうに行けばお母さんに会えるから」と彼女をひとり雪山の上に向かわせるシーンでは、思わず涙がこぼれてしまいました。

そして、死したロザリンドが母・ミケーネと再会するシーンでは、「これで良かったのかもしれない」という感動を覚えました。これは実際の出来事だろうと、ロザリンドが最期に見た幻覚だろうと、どちらでも良いと私は思います。どちらもロザリンドにとっての救いには違いありません。ロザリンドに殺害された人たちやその親族からすれば、彼女に加えられた制裁は甘すぎるように感じられると思います。しかし、天使のような性質を持ちながら、悪魔として生まれてしまった彼女もどうか救われて欲しい、と願わずにはいられません。そして、彼女を心から愛するがゆえに、彼女自身と世界中の人々の為にも彼女を手にかけたバーナードにも救いがあってほしいと願います。


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