ヒカルの碁、最終話 完結23巻 感想
※ネタバレ注意です※
ヒカルの碁は、「佐為編」と「北斗杯編」とあり、「佐為編」は17巻で最終話、18巻でサイドエピソードをはさみ、19巻~23巻まで「北斗杯編」となります。
「佐為編」「北斗杯編」、どちらも最終話は綺麗に終わっています。
特に「佐為編」は、何度見ても涙なしには見られません。最終話は主に主人公のヒカルと、囲碁の生涯のライバルであるアキラとの対局の話となりますが、勝負は均衡し、互角に描かれており、最後の最後まで勝敗がわかりません。
結局ヒカルはアキラとの勝負に負けてしまいますが、その結果は、夢の中で、今までずっと一緒に過ごしてきた親であり友達であり師匠である佐為へ報告をするという形で表現されています。
最終話の印象に残ったシーンとしては、やはりこの夢の中での佐為との再会シーンではないでしょうか。
少し前に消えてから、ずっと出てこなかった佐為が、最終話の最後の最後にしてやっと出てきたことに感動しました。
佐為は夢の中で言葉を発しませんが、穏やかな表情から、消えたことによる後悔はないんだなと思わせてくれます。
読者としては、佐為とヒカルとの再会の嬉しさと、ヒカルも再会を喜び、アキラとの勝負に負けたことを明るく佐為へ報告しており、読んでいて負けた事による苦さは全くありませんでした。
ヒカルは夢の中で佐為と別れ、一人で囲碁の世界を歩く決心をします。佐為との別れはとてもさみしかったですが、ヒカルがライバル達と向き合い、前向きにがんばって行こうと歩いていく姿で終わり、読み終わりには「よかった!がんばれヒカル!」と応援する気持ちになりました。
すごく明るくすっきりとした終わりで、これ以上ないという最終話なんじゃないかと思います。また、「北斗杯編」の最終話は、終始日本VS韓国団体戦の最終戦の対局です。
アキラ、社、ヒカルがそれぞれ韓国の代表と対局しており、ヒカルはその中でも大将として、韓国の大将と対局しています。
ヒカルにとってとても大事な人である佐為を馬鹿にした韓国の大将(高永夏)を許せないことから、絶対勝ってやると意気込み戦いに挑みますが、意気込みすぎて劣勢を強いられてしまいます。
ですがヒカルはそこから立ち上がる強さを見せ、ページを送るごとに「がんばれ、がんばれ!」とひたすら応援してしまいました。
勝敗はどっちに傾くのか…ハラハラしながら戦局を見つめましたが、結果的には、「佐為編」と同じくまた負けてしまいます。
負けてはしまいましたが、高永夏もヒカルを認め、これからまたライバルとして切磋琢磨していく仲間になるんだろうなと思わせてくれます。
印象に残ったシーンとしては、終局後、最後の最後に高永夏がヒカルに放つ質問とヒカルの答えです。
「なぜお前は囲碁を打つ」と聞いた質問に対し、ヒカルが「遠い過去と遠い未来をつなげるために」と答えます。
こちらの言葉が、ヒカルの碁という物語の総括ともいえることなんじゃないかなと思いました。
1巻からずっと佐為が追い求めてきた「神の一手」を、ヒカルが意思受け継ぎ、自分がかなえようと決意した答えがここで出ます。
「北斗杯編」では、佐為は一切でてきませんが、物語の核ともいえる存在が佐為なので、ヒカルが今でも変わらずすごく大事に思っていることを読者としてはうれしく思いました。
ヒカルの碁を打つ目的、それが佐為であり、二人の絆にすごく感動しました。それに対し高永夏は、「お前だけじゃない、みんなそうだろ」と答え去って行ってしまいます。
ヒカルとしては自分が佐為のために叶える!と思っていると思いますが、囲碁は一人だけではできないので、アキラをはじめ高永夏など、ライバルたちと一緒に、みんなでいつか叶えられるといいなと思いました。