白木蘭円舞曲、最終話 完結3巻 感想
※ネタバレ注意です※
白木蘭円舞曲(マグノリアワルツ)、の最終話の感想。
先ず、一言で言って、「女性は強い!逞しい!」という事です。
そして、そんな女性に私は凄く憧れを持っています。
現代で言うと、マドンナとか、松田聖子さんとか、そういった人を思い浮かべる主人公です。
そしてこの作品は、少女漫画の王道を越えた、その先にある、この漫画の各々の読者が本当に見たい結末のすべて・・・が、この漫画のラストには描かれている。そのように感じます。
主人公の青木湖都は、ドレス・メーカー。戦時中のお話です。
彼女は、この作品の中で、彼女と関わった、彼女に好意を持った3人の男性の全員と結ばれます。
厳密に言うと、3人目は結ばれそうな感じ・・・なのですが。
そして、父親の違う、2人の息子を授かります。
こういう漫画は実に珍しいと思います。
作者のさいとうちほさんは、この漫画を「戦争と平和」の主人公のような、たくましい女性を描きたかったと当時コメントされていて、まさにその通り。
主人公の湖都はたくましく、戦争を生き抜き、その上で図太くパートナーを変えていきます。
私は、この漫画には少女漫画の王道を越えた、その先にある、この漫画の”各々の”読者が本当に見たい結末のすべてがる・・・という風に書きました。
・・・というのは、この作品には、主人公・青木湖都を巡り、3人の男性が登場します。
インド人とイギリス人ハーフのサジット、軍人・正臣、その兄の龍一。
その3人ともが物凄く魅力的で、3人それぞれにファンベースがあったと思うのです。
いわゆる、私は〜派!というような感じです。
しかも、勿論、一番人気、二番人気、三番人気〜という順位はあったでしょうが、その3人の誰もが、素晴らしい男性キャラクターたちだったのです。
素晴らしいだけでなく、本当にさいとうちほさんの描く男性キャラクターは物凄く女心を鷲掴みにするのです。
とにかく半端なくカッコいいのです。
しかも、この漫画にはそんなカッコいい男性キャラクターが3人も登場していますから、イケメン祭り状態なのです。
サジット派・正臣派だった人は、2人とも亡くなったものの、湖都と結ばれて子供を成し、短いけれど愛し合ったので満足でしょう。
しかしその上に、最終話では龍一派をも最後納得させるエンディングで、まさに、各々の男性キャラクター・ファンが見たかった結末がそれぞれ含まれていた・・・と言っても過言では無いと思うのです。
それに、サジット派・正臣派だったファンには、2人が亡くなった穴埋め?というか、これまた最終話でサジット、正臣にそっくりな少し成長した息子2人を登場させているので、物凄いボーナスをもらった気分になったでしょう。
完結後もその2人がそれぞれのお父さんのように成長していく姿が窺えて、幸せな妄想も残してくれたのですから凄いです。
正臣に関しては、湖都が最初婚約者であった正臣を裏切りサジットに走ったものの、サジットの死の後で、正臣とヨリを戻す・・・という部分には批判もあったのではないか?と推測もしますが、作者は主人公・湖都には本当に沢山の充分な試練を与えていましたし、彼女はその都度、男性に媚びる事なく乗り越えていた。
故にどの男性キャラクターのファンも、その部分でパートナーをコロコロ変えていく湖都を嫌いになれなかった、納得せざるを得なかった・・・のでは無いかと思います。
私自身は、この湖都の生き方は物凄く好きです。一生ものの恋愛というものはあるでしょう。
運命の相手・・・というのも。
でも、人生は長い。若くしてパートナーに先立たれた場合などは、後の長い人生に恋をしないで生きていく必要は無い!そう思います。
何度だって、幸せになって良いと思います。
少女漫画というカテゴリーで、こういう結末を描くのには勇気があったと思いますが、その上でこの結末ですべての読者を納得させたのは作者の力量であったと思います。
最強・最高の少女漫画だったと思います。