アンジェリーク 少女は扉を開けて、最終話 完結11巻 感想
※ネタバレ注意です※
恋する人との未来をとるか、それとも宇宙の平和を守るかという選択の時が迫り、アンジェリークの事を思うと切なくなりました。
アンジェリークにとって、風の守護聖であるランディへの思いは、一途なものだと思います。
もしかしたら、宇宙の平和よりも、ランディの事を選んだのかもしれません。
ですが、そんなアンジェリークの気持ちを変えたのは、女王の存在だったのではないかと思います。
今まで、一人で宇宙を支えてきた女王。
その力の衰えで、宇宙は崩壊の危機を迎えます。
それでも、宇宙を支えようとする姿に、アンジェリークは気持ちを変えたのではないかと思います。
そして、そこではもう一つの愛がありました。
女王をずっと愛してきた闇の守護聖クラヴィス。
彼は、女王となる前の彼女を愛し、そして、叶わなかった想いを抱えてきました。
亀裂へと落ちそうになる女王を、光の守護聖であるジュリアスと救ったクラヴィスは、とても穏やかでした。
やっと愛する人を救えた事への安堵と、そして、変わらぬ愛をクラヴィスは示したのです。
時が流れて、それでも変わらない思いがある。
その姿は、アンジェリークの気持ちを変えました。
もう、泣いてばかりいるか弱い女の子ではありませんでした。
毅然とたたずむ彼女は、まさに新しい女王でした。
そして、ランディもまた、アンジェリークの決意を受け入れました。
この時、ほんの少しだけ、もしかしたらランディがアンジェリークに自分を選ぶように迫るかもしれないと思いました。
ですが、やはり宇宙も女王を守る守護星です。
ランディは、感情を押し隠し、新しい女王となったアンジェリークに忠誠を誓いました。
アンジェリークとランディは、自分達の恋よりも、宇宙全体を愛する事を決めたのだと思います。
それは、なんて切ない恋の終わりなのでしょう。
お互いの事を好きなのに、その気持ちを、もう2度と伝える事が出来ないのです。
様々な守護聖達に見守られる中、アンジェリークは女王となりました。
そして、彼女を支えようとロザリアはその補佐をする事になりました。
アンジェリークとは違い、最初から気品溢れた彼女は、きっと悔しかったのでは?と、思いましたが彼女はそんな事は気にしていませんでした。
それよりも、新しい女王となるアンジェリークの補佐は、自分にしか出来ないという自信に溢れていました。
最終話は、平和と恋の終わりに彩られたものとなりました。
アンジェリークがこれまで歩んできた道は、決して平坦とは言えませんでした。
そして、これからもおそらくアンジェリークが歩む道は、過酷なものになるのかもしれません。
ですが 、なんとも爽やかな最終話でした。
アンジェリークは、諦めた恋に対しての後悔は一切ありませんでした。
それよりも、大きな使命を果たす為に、彼女はこれからも歩み続けていくのだろうと感じました。
彼女は、とても重たい使命を果たさなくてはならないのです。
新しい女王となり、平和を維持していかなくてはならないのです。
ですが、彼女は尊い存在を手にしたのです。
自分を支えてくれる守護星達。
そして、かつてのライバルだったロザリアの支え。
アンジェリークは、これからその慈悲の心を宇宙の全てに注ぐのだろうと感じました。
そして、その心の奥には、いつまでもランディの姿がある事だと思います。
そして、ランディもまた、その心の奥にはアンジェリークへの恋心を隠し続けるのだろうと思いました。
恋愛と使命、どちらを選ぶのかと問われたら、女の子はとても迷うと思います。
アンジェリークは、迷った末に使命を選びました。
その姿は、とても気高く美しかったです。
いつの日か、使命を終えた彼女が再びランディと手を取り合える日が来たら良いのにと思いました。