ハチミツとクローバー、最終話 完結10巻 感想
※ネタバレ注意です※
今までの物語をすべてスッキリと回収してくれた最終話です。
読み終わった後は清々しい気持ちになりました。色々問題は起きたけれど、みんな幸せに向かって歩み始めた様子に、最終回なのにまたこれから続きが読みたくなるような素敵な終わり方でした。ひとりひとりのキャラクターが大好きでずっとこのまま彼女たちの成長を見ていきたい、その先の話を知りたいと思えるお話でした。問題が解決した、「それぞれのその後」を描いたアフターストーリーのような話が大好きなので、読んでいてワクワクしました。
これまでたくさんの問題が起きて、それぞれで嫌な役回りとなっていた登場人物たちも再度は家族や仲間と共に新しい道に進んていたりと、「悪役」が誰一人といない晴れやかな終わり方だと感じました。森田とお兄さんも最後はなかよく布団を並べて話している様子は今までの辛いシーンもすべて報われたように感じました。
あゆもずっと辛かった恋から一歩前へ進んだのだと思うと嬉しくなりました。幸せになってね、と言いたくなりました。
はぐちゃんも、先生と一緒に生きていくと決めてすっかり大きくなって大人になったように思いました。森田さんと一緒になるかと思っていたけれど、最終回を読んだときに先生と一緒に生きる道を選んでやわらかい雰囲気のはぐちゃんを見て「よかったな」と感じました。頬の傷が残り少し胸が痛くなりましたが、コロポックルと馬鹿にされていたはぐちゃんもすっかり大人になっていました。こんなに大きくなったんだ…となぜか親のような気持になりました。森田さんの仕事場と繋いだパソコンを嬉しそうに眺めているはぐを見て、遠くても繋がっている「恋」とだけでは表せない芸術の才能溢れた二人だけの関係を物語っているようで、これもまた続いていく物語なんだろうなと深読みしたくなりました。
この物語の冒頭での「6畳プラス台所3畳フロなし…」のモノローグが最終回でも登場して、竹本君がアパートを出ていくシーンに「卒業していくんだな、もう終わりなんだな」としんみりした気持ちになりました。最後に桜吹雪の中はぐちゃんと竹本君が自転車に一緒に乗るシーンは別れを思わせて切なくなりました。
いつものように鍋を囲んでいる皆もどことなく大きくなったなと感じて、ふと気を抜くと「最後」という事実がしんみりさせてしまう様子は、こちらも涙しそうになりました。いつものようだけれどいつもと違う、「最終回らしさ」を感じました。
最後、はぐが渡したサンドイッチにたくさんの四つ葉のクローバーが入っていたシーンはとても感動しました。タイトルの「ハチミツとクローバー」はここに繋がっていて、いつか皆で四つ葉のクローバーを探したけれど見つけられなかった話も、ここに繋がっていたのかとわかりハッとしました。あの時の皆にはもう戻れなくて、もうあの時の日々は再びやってこないけれど、確かに大切な思い出なんだと報われた気持ちになりました。それぞれ別の道にいるけれどずっと繋がっている大切な友情ってなんて素敵なんだろうなと思いました。
竹本君の「うまくいかなかった恋に意味はあるのか?」「意味はある、ここにあったんだよ」というシーンは、恋ももちろんそうだけれど人生のいろんな失敗や経験も含めて「意味はある」と言っているように感じて涙したのを覚えています。
恋は、人生は、本当に素敵だなと純粋の思える優しい最終話でした。素晴らしいハッピーエンドの大団円のように思います。今もたまに読み返しています。
羽海野先生の柔らかい絵と、ひとつひとつ深くて優しい言葉が相まって、気持ちの良い終わり方だなと感じました。色んな漫画の中でも、特に大好きな最終回です。