瞬きもせず、最終話 完結7巻 感想
※ネタバレ注意です※
芳弘と一緒に東京へ出発したかよ子。淋しそうに送り出す母親。
反対する父親を振り切り、バスに乗り込むと父親が自転車で追いかけて来る。
父親が自転車で転んでしまうのを見てかよ子は「ごめんね、お父さん」と泣いてしまう。
家族との生活への未練と、これからの東京での生活の不安が一気に溢れる表現で涙がこぼれます。
芳弘と合流して汽車に乗ると、少し元気を取り戻しますがまだまだ気持ちは不安定で、同級生だった輝哉と会い、知らない東京の街で芳弘と輝哉にいたずらで置き去りにされたり、輝哉の友達には故郷の山口県の場所を知らないといわれたり気持ちがどんどん沈んで行くかよ子。
そんな中、実家に電話をすると母親が倒れたと聞き更に気持ちは落ち込みます。
そんなかよ子を見て芳弘は、やっぱり連れて来ないほうが良かったんではないかと不安になります。
でもかよ子は、芳弘には自分の母親が倒れたことは伝えないまま過ごします。
伝えてしまうと絶対に帰れと言われてしまうと思ったからです。
芳弘も東京でサッカーを続けようと思っていましたが、自信をなくしかけていました。
でも、かよ子のそばにいることができる事を励みに仕事もサッカーも頑張っていこうと思っていました。
その後、倒れて入院している母親のことを打ち明けたかよ子。やはり芳弘は帰れと言います。
かよ子は帰ってしまうともう戻って来られないと、自分でわかっているので帰りたくないといいます。
一度帰ってしまうと、母親が心配な気持ちが勝ってしまうと思ったからです。
しかし、芳弘はじぶんの父親の病気のことを打ち明け、かよ子を説得し山口県に帰るようにいいます。
離れていてもお互いに信じあう心が有れば大丈夫だと、帰ったら絶対に結婚しようと約束します。
山口県に帰ったかよ子、東京でサッカーを頑張ろうと思っていた芳弘でしたが、芳弘の会社のサッカーチームのメンバーは本気でサッカーを頑張るつもりはないことを知り、芳弘は気持ちが落ち込みます。
その後二人の連絡は途絶えてしまうのです。
会えなくなって半年、連絡をとらなくなって3か月。
それでもかよ子は芳弘のことを信じて待ち続けていました。
そんな中ある人に付き合ってほしいと言われたかよ子。
過去にいつまでも縛られなくてもいいんじゃないかといわれますが、かよ子はまだ過去になっていないと断ります。
このままじゃいけないと思い、芳弘に手紙を書きます。会いたい、東京に行きます。と。
すると、芳弘から電話がきて、来なくていい。信じるものがなにもなくなった。悔しくて合わせる顔がないと。おれのことは早く見切ったほうがいいと。
かよ子はそれでも東京にあいに行きました。
一日中雪の中外で芳弘を待ち続けましたが、芳弘は帰ってきませんでした。
わたしの心はずっとあなただけのものです。と手紙を残して帰ったかよ子。
家に着くと父親が芳弘と電話をしていたのです。
かよ子が置いて行った手紙を見て、たまらず何回もかよ子の実家に電話をかけていたのです。
「ずっと俺のそばにいろよ」と。
4月になり、芳弘はかよ子の待つ山口県に帰って来ました。
かよ子は二人はもうダメかもしれないと思っていましたが、芳弘は戻ってきました。
芳弘は少年サッカーのコーチをしながら、家業の花屋をついで頑張っています。
かよ子は地元の短大に通い始めました。
芳弘はかよ子が短大を卒業したら、かよ子の父親に挨拶に行くと笑いました。
一度はもうだめになるんじゃないかと思われた二人でしたが、うまくいって本当に良かったと思える結末でした。
高校を卒業した田舎の若者たちのそれぞれの道を描いた、感動の作品です。
何度読み返しても涙が出る、家族愛も描かれた傑作です。ぜひ読んでみてください。