こいつら100%伝説、最終話 完結3巻 感想
※ネタバレ注意です※
岡田あ~みん先生の傑作は複数ありますが、私はこの「こいつら~」が一番好きでした。
全3巻というところも、コンパクトで良いし。
何より最終回まで、毎回大笑いさせてくれて……。
いつも主人公三人組を叱りつけ、彼らに振り回されていた、常識人の忍術の老先生。
その先生が「今回で最終回だから」と自分のリセットを外し、「ちょっくら海まで行ってくるぜ!」とハジけていたのが、インパクトがありました。
今までさんざん弟子たちに振り回されて、フラストレーションが溜まりに溜まっていたのでしょうね。
一応江戸時代が舞台なのに、バイクにアロハシャツ、サングラスという恰好にも笑いました。
そして、今までさんざん繰り返してきた、ヒロインである『姫さま』への恋の鞘当て。
思えばこのシリーズ、第一話で姫に一目ぼれした主人公トリオの、恋の鞘当てから始まったし。
前回でレギュラーの『ターミネーター』が行方不明になったので、本当に最初と同じ、三人です。
ところがやっぱり、貴佐光(きざみつ)も登場。
懲りずに姫さまを攫いにやって来ました。
もちろん、三人組にコテンパンにされましたけど。
「最終回だって、君の思い通りにはいかないぞ!」という危脳丸のメタ台詞が、なんか好きです。
懐かしい『男好きシスターズ』や『ねえや』も再登場。
ところが、危脳丸は「もう会えないかと思ってました」「いつでも助けたろ」という、姫と極丸のやり取りを目にします。
そう、薄々気付いていたけど、姫が好きなのは極丸だったのです。
ちゃんと決着が着くとは思わなかったので、正直この場面では、少なからず驚きました。
そして危脳丸は全てを悟り、涙を堪えて二人を祝福します。
彼は派手好きだしナルシストだし、かなり無茶苦茶な性格ですけど……自分の恋心より、好きな相手の気持ちを優先出来る男なんですよね。
そんな彼の哀愁漂う姿に、寄ってたかって慰めてくれる男好きシスターズ(改めてスゴイ名前)と、ねえやさん。
しかも、前回で命を落としたと思ったターミネーターも、しっかり再登場しました。
「お前、前回で死んだんだろ!?」と驚く危脳丸に、「ターミネーターは不死身~」と返すターミイ。
前回の切ないラストと、しんみりした余韻は……と思いつつ、やはりギャグ漫画で良かったと、ホッとしました。
皆が幸せで元気で、気持ちよく最終回を終えて欲しいですから。
ストレス発散していつも通りになった先生と、主人公三人組。
そしてお姫様に、ターミイに……。
いつものメンバーで、揃って読者にお別れを告げる。
そんな作品を飛び越えたエンディングも、やっぱり本作品らしいです。
思えば忍者モノでありながら、タイムスリップして現代に来たり、サイボーグの刺客(ターミネーター)が登場したり。
なおかつ編集長や、作者の岡田先生たちが、レギュラーとして登場したり。
そういう時代や世界観を、軽々飛び越えてしまうところが、すごく好きです。
以前連載していた「お父さんは心配性」のメンバーと、共演した回とか……懐かしいなあ。
初めて読んだ時は小学生でしたが、大人になって読み返しても、やっぱり何度も同じ場所で笑ってしまいます。
毎回登場する「ニセ商売屋」なんて、宇宙人に人間を売ったり、南蛮語のニセ教師になったり……最後の最後まで、大活躍でしたね。
ところで私、最終回にもしっかり登場した「ねえや」がとても好きでした。
美少女の姫とは違い、とても美女とは呼べない容姿の彼女。
でもお城の家事を取り仕切り、若殿をビシバシ扱きながら、彼に言い寄られる姫をさりげなく助ける。
強いし優しいし、おまけに有能だし、料理も上手い。
まさに「頼れるお姉さん」という感じのキャラクターでした。
また彼女の活躍を見たいので、単行本を引っ張り出してしまいます。