熱帯デラシネ宝飾店　最新話 / 30話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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「忘れたというのか アウレリア！」

「俺は憶えているぞ！ お前の匂い お前に与えられた痛みをな！」

「痛み…？　　じゃあ…やっぱり あなたは…」

「ああ… 忘れはしない」

「金の髪 緑の目… そして その顔をな！」

「それなのにお前は忘れたというのか アウレリア！　　俺がこの遺跡に封じられていた たった数百年の間に」

「この俺を！！　　お前たちが殺した この俺を！！」

「…これは」

「どういうこと…？」

「これが…私…？」

『その日―― 唐突に蘇った前世の記憶』

「違う！」

「私はただのＯＬだったはず…！」

「これは　　この顔は…」

「エーリカ・アウレリア…？」

『エーリカといえば… 伝奇ファンタジー乙女ゲーム「リベル・モンストロルム ～幻の獣と冬の姫君～」』

『…の悪役令嬢…？』

『待って待って！ なんで急にこんな記憶が！？』

『まさか私… 乙女ゲームの世界に転生したの！？』

『前世の私は　　なぜか子供の頃から 性質(タチ)の悪い男やストーカーを引き寄せた』

『だからなるべく 地味に目立たないよう 息を殺して生きてきた』

『そんな私の唯一の趣味が 乙女ゲームだった』

『どんな苛烈なキャラでも フィクションはディスプレイを越えてくることはないからだ』

『けれど』

『あんなに気を付けて生きてきたというのに あの日 私は…』

『一方的にストーカー化した同僚に刺されて ……死んだ』

『それが…』

『私の最後の記憶――』

『でも私には エーリカとしての記憶もあるわ…』

『私は』

『間違いなく エーリカ・アウレリア(ゲームキャラ)だ』

『「リベル・モンストロルム ～幻の獣と冬の姫君～」は』

『魔法学園都市リーンデースの魔法学園を舞台とした ちょっとダークなファンタジー乙女ゲームだ』

『ヒロインは様々な怪奇事件に巻き込まれつつも』

『７人の対象攻略のキャラクターたちと親睦を深めていくストーリーになっている』

『そして そのゲーム内で 私(エーリカ)はヒロインを散々いじめた挙句　　猟奇殺人イベント開始の時報のごとく 最初に殺されるキャラなのだ』

『私は… 前世と同じく 殺される運命なの…？』

ぐっ…

バッ

「このまま何もしないで死ぬなんて」

「絶対に嫌！！」

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