先輩、これ以上はアウトです　最新話 / 2話

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『料理をするのが好きだ』

『ただのアマチュアだけど』

『ＳＮＳで料理のアカウントも作っている』

『多くはないけど 料理の投稿を見てくれる人もいる』

『――けど』

『その方向性について―― 若干 悩みがある』

『本当は もっと　　こういうのを作りたくて…！』

ゲームに出てくるレシピの再現とか！

デカ盛り料理とか！

大量に作る系とか！！

食べてみたい量と実際に食べられる量に開きがある菓子系とか！！！

『しかし 私自身は少食だし ひとり暮らしだ』

『作ったところで食べきれない』

『地元から離れて就職して 仲のいい友人も近くにいない』

『ＳＮＳ上でもコミュニティは そう広くない』

（アートが観てくれる観客がいないと成立しないのと同じように　　料理も「食べる」までがないと成立しないんだな）

『おかげで「作りたい」という思いが ずっと燻り続けたままだ』

（あー）

（誰かが 私の作ったの食べてくれたらなあ…）

（明日は鮭おにぎりだ）

（今日２切れとも焼いちゃって冷凍して…）

（あの人は…　　お隣のお隣さんだ）

（部屋にいても足音で帰宅がわかってしまう住人さんだ…）

（私と同じ時間帯になるの珍しいな）

（あ～　　ポスト見るふりして やり過ごすかな）

（ここのエレベーター狭いし）

（同じ階で降りるの なんか気まずい　　し――！？）

『な』

『なんだ その量…』

ぽか…

ぺこ

「あっ」

ドキッ

「こんばんはっ」

「……」

（…う～ん すごいファストフード臭…）

（あれ… クリスマスとかに見るやつ）

（フライドチキン自作するのも楽しそうだよね）

じぃ――～…

（いや脂っこいもの どんどん無理になってるしな いけてナゲットぐらい…）

ばちっ

「ファストフード臭くて すみません」

「いやっ 全然っ　　なんかパーティですか？ いいですね～」

「いえ」

「ひとりで食べます」

「えっ」

（…えっ）

（えっ）

ぺこ

（ひとりでって）

（ひとりって…）

『あの量を』

『ひとりで――！？』

『お隣のお隣さんに』

『そんな逸材が…！？』

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