屋根裏部屋の公爵夫人　最新話 / 26話

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『真珠のような月が煌めく夜』

『あの再会がなければ』

『きっと運命は』

『違っていたと思う』

『自然豊かな農業国』

『グリートピア』

『中でも取り分け美しい渓谷の側に』

『女人禁制』

『私的外出 不可』

『秘密が渦巻く 魅惑の箱庭――…』

『寄宿学園　　セレスティア校が存在した』

「見て！！　　いらしたわ！！」

「えっ どこ！？」

「ほら あそこ――…」

「ラウル王太子様よ！！」

「さすが殿下！！！ 気品と風格が溢れてるわぁ～♡」

「他の御三方も とっても素敵ね」

「ほんと憧れちゃうわ」

「そういえば 殿下は１年後までに結婚相手を決める王命が出たとか！！」

「あんな素敵な王子様の婚約者に選ばれたら――…」

「なーんて　夢見ない乙女はいないわよね～っ」

「お帰りなさいませ」

「温かい紅茶をご用意しております」

「――あぁ」

バタン

「んん～っ…」

「――やっと終わったか…」

「執事」

「さっさと茶の準備だ」

「じゃあ僕はレモンティー」

「オレはハニーティーを」

「――かしこまりました　　只今お持ちいたします」

『これが魅惑の箱庭と謳われる　　寄宿学園 王族寮での』

『王太子と側役の姿』

『ここ国立セレスティア校は――――…』

『１３歳～１８歳の名立たる貴族王族の子息が生活する名門校』

『男性でも学園関係者以外は門をくぐることも許されず』

『家事以外 身の回りのことは自分で出来るようにと　　執事も学園の配属した各寮１名のみ』

『故に』

『一般的な執事より仕事は楽なはず』

『なのに』

「お待たせいたしました」

「まぁ よくその細腕で運べるものだ」

「恐れ入ります」

「ただやはり 王族寮の執事にしては薄っぺらい身体だな　　それでは いざという時 頼りがいが無さすぎる」

「ご安心ください　　これでも一応 執事試験は首席で合格しております」

「ご心配には及びません」

「――そうか　　でも……」

「もっと食べた方が良いんじゃないか？」

ぐっ

「ひゃっ」

「何だ？ 女みたいな反応して　　やはり俺が鍛えてやった方が良さそうだな」

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