BLEACH ―ブリーチ―、最終話 完結74巻 感想
※ネタバレ注意です※
長年愛読してきた漫画ですが、最終回は初回を思い出すような、爽やかな内容でした。
死神として高校生として、いつも「護る」ために戦ってきた、主人公の一護(いちご)。
初登場時は15歳の高校生だった彼も、ラストは28歳の立派な大人になりました。
全ての世界に影響を及ぼす、最強の敵「ユーハバッハ」。
彼は一護と友人・石田くんの祖先とも言える人物。
人間、死神、どちらでもないクインシー。
全てを巻き込んだ戦いで、多くの犠牲が生じました。
最終回に、レギュラーの浮竹さんと草鹿やちるちゃんの姿が無いことが、とても寂しく感じました。
しかし、新たなメンバーも登場します。
それば一護の息子「一勇」(かずい)と、副主人公ルキアの娘「苺花」(いちか)。
死神ルキアと人間一護の出会いから始まったのが、ブリーチ。
その子供同士が出会うシーンで終わったのは、なんだか感慨無量でした。
思えば子供の頃に母を亡くし、それを自分のせいだと思い続けてきた一護。
それ以来、誰かを護る為に死神として、刀を振り続けてきました。
最初はいつも仏頂面で、眉間にシワを寄せていた彼。
でも大人になった彼は、さっぱりと明るい表情でした。
単に大人になっただけではなく、仲間や自信、力を得たことが変えたのでしょう。
そして彼の横には、妻になった同級生の「織姫」の姿が……。
ずっと一護に憧れ、彼の傍にいたいと頑張ってきた織姫も、また願いを叶えた一人でした。
兄を亡くし天涯孤独だった彼女も、一護や息子、夫の家族と賑やかに暮らしています。
そして副主人公のルキアと、幼なじみの恋次(れんじ)も家族になっていました。
いえ、もともと孤児として一緒に育った二人。
それが一度は引き離されたものの、また自力で家族に戻ったと言うべきでしょうか。
ルキアの義兄である白哉(びゃくや)とも、良好な関係の様子。
そして二人の間には、夫婦を足して割ったような子供が……。
顔立ちと目の色は、母親のルキアそっくり。
そして赤い髪と勝ち気な表情、強気な口調は、父親の恋次にそっくりです。
きっと義理の伯父である白哉にも可愛いがられ、幸せに暮らしているのでしょうね。
白哉もまた愛妻を亡くし、妻の妹と夫を得た者です。
思えばブリーチには「家族を亡くした者が、別の形で家族を手に入れる」というテーマがあったように思います。
休暇に夫婦揃って、一護の家に遊びに来たルキアたち。
同級生が集まり、皆すっかり大人の顔になっていました。
プロボクサーになったチャドに、医者になった石田くん。
ウンウン、順当な進路ですよね。
皆が今も連絡をとり続けていることに、何となくホッとしました。
それにしても、大人になった織姫ちゃん。
ますますスタイルがよくなり、ロングスカートにフリルエプロン、長い髪がよく似合っています。
大好きな一護の妻になり、彼によく似た息子を得て、きっと幸せなのでしょうね。
ちなみに息子の一勇は、目元だけはお母さんソックリです。
その一勇が、出現したユーハバッハの残り(?)を、あっさり消してしまった場面がありました。
あんなに苦労して倒したのに……。
藍染(あいぜん)が呟いた、勇気。
進み続け、歩き続ける。
ラストに出てきた「ブレイブ ストーリー」という言葉。
ブリーチは、進み続けた勇気の物語。
そして、初回と最終回のタイトルは同じでした。
それは「デス アンド ストロベリー」です。
初回の「デス」、すなわち死神は、ルキアでした。
そして苺は、もちろん一護。
対して最終回の死神は一勇で、苺は苺花。
うまい対比だなあと、感心しました。
久保先生らしい、仕掛けを感じる最終回でした。
長く続いたブリーチの最後として、清々しいラストシーンです。
それにしても大人になった一護は、若き日の父親にそっくりでしたね……。