僕らが恋をしたのは　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『大好きなお母様が亡くなられた その日――』

（お母さんが亡くなった？）

（ううん… そんなはずない…）

『だって お母さんは…』

『私は…』

「……私　　莉亜だった……！」

『夢の中で前世の記憶を取り戻した――』

『あの日… 春に二十六歳の誕生日を迎えたばかりの私は　　絶望の淵にいた――…』

「そりゃ　あんた 騙されたのよ」

『この人は私のお母さん 小料理屋を経営しているの』

「どーしたの おかみさん」

「聞いてよ　この子 彼氏にお金渡したら 逃げられたみたいで…」

「お…　お母さん！ まだわかんないでしょ！」

「住所に行ったら公園って 騙されてるに決まってるでしょ」

「う…」

「そ… そりゃあ…」

「よし！　莉亜ちゃん 今日は おじさんのおごりだ！　　こっちきて飲め！　いいだろ おかみさん」

「仕方ないねえ　　今日だけよ」

『そう…私 莉亜は彼氏に４００万円 騙し取られたみたいなんです…』

『二カ月前には結婚の話も出ていて 交際順調だった』

「結婚しよう」

「えっ　　あ…　　うん…」

「式場は早く押さえておいたほうがいいから　　見に行こう」

「わあ… キレイ…」

『大きなスタンドグラスに惹かれて　　式場を決めたのが一週間前』

「じゃあ僕が結婚式の費用を振り込んでおくよ」

『そう言って私から４００万円を受け取り…　　彼はそのまま消息を絶った』

「嘘…」

「はああ…　死にたい…　　いっそ ここから飛び降りちゃおうか…」

〔キッ〕

『え…』

「ちょ…」

『まさか飛び降りる気じゃ…！？』

「待って！！」

『さっきまで死にたいなんて言ってた私が言うのも変だけど』

『生きてたら きっといいことあるから』

『だから』

『死んじゃダメ――…』

「…　っ…」

「！」

「えっ」

『嘘…』

『落ち…』

『口…笛…？』

『なんだろ… 甘くて優しい香りがする…』

『なんだか懐かしいような――』

（ていうか　空って黄色かったっけ…）

「やあ おはよー♪」

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