桜蘭高校ホスト部、最終話 完結18巻 感想
※ネタバレ注意です※
主人公藤岡ハルヒがアメリカ留学を決め、学校を離れる前に、ホスト部に来てくれたお客様たちに本当は自分が女であることを伝えたいというシーンに、ハルヒの真面目で誠実な性格がとてもあらわれていました。
この時のハルヒの表情はすごく穏やかな一途な目をしていて、関わった人たちをすごく好きだったんだなというのがよく伝わりました。
そこで、ただ真実を告げるのではなく、仮面舞踏会を開いて盛大に発表しようとするホスト部にはさすがだなと思いました。
ハルヒがホスト部に関わるようになってから出会った春日崎さんと再びダンスをするシーンや、その後モリ先輩に拉致されて着替えさせられるシーンは読者である私でも懐かしくなり、また最初から読み直したいと思うほどでした。
私はこの作品で、環が家族と向き合うことになる回が一番好きだったのですが、れんげがそのシーンを再現するところもまた感動をよみがえらせてくれました。
みんなに「ホスト部とこの桜蘭に帰ってきてね」と言われ、ありがとうございますと涙を流すハルヒはとても綺麗でかわいらしく、作者の愛を感じました。
しかし、これだけ感動する場面がたくさんあるのに、その直後に連続するギャグにはこの作品らしさを感じました。
ハルヒが女の子だとみんな知っているのかと思いきや、庶民出身だから余計なことは詮索しない方がいいというとても失礼なことをみんな言いますが、決して悪気はなく、純粋にハルヒのことを考えてのことなのだろうというのはよくわかりました。
「限りなく女子っぽい男子(しかもホモ)」なんて目で見られる少女漫画の主人公は他にはいないのではないでしょうか。
私はこの表現が好きで、ふとした時につい思い出してしまいます。
このシーンで笑えるのは、れんげの存在がとても大きいと思います。れんげのオタクキャラが最大限に生かされた場面だと思います。
ハルヒを追うようにホスト部のメンバーも全員留学することを決めますが、普通だったら一つの学校からそう何人も留学することはないし、それが短期間で簡単に決まるものでもないと思います。
もちろんそれが「漫画だから」というのは簡単ですが、桜蘭高校ホスト部にはそういう「普通だったらありえない」を「この作品だったらあり得る」という笑いに変えてくれるので、とても楽しく読めました。
環、馨と光がハルヒの後を追うのはわかりますが、ハニー先輩モリ先輩、鏡夜も留学をするのは、それが楽しいと判断したからか、ハルヒを追うのか。
結局この三人のハルヒに対する気持ちは最後まで恋心として肯定されることはありませんでしたが、ハルヒに他の女子とは違う何かを感じていたのは間違いなかったと思います。
ホスト部は最初恋愛要素をちらつかせながらもずっとギャグでかわしていただけに、環が「もう一生離す気ないから」と言ってキスするシーンはとてもキュンキュンしました。
この作品において他の誰でもない環が一番のラブコメ要員だったのですが、王道少女漫画に出てくるイケメンに負けないくらいのイケメンっぷりを発揮してくれて、とてもよかったです。
ハルヒも環への恋愛感情を受け入れたからか、表情がとても穏やかで、キスを笑顔で受け入れたところはとてもかわいかったです。
ハルヒは最初の方こそもっさりとした印象で描かれていましたが、実は女で顔が可愛いという設定が明らかになってからはとてもかわいく描かれてきましたが、最終話は格段に可愛く描かれていました。
基本的にはバカ要素丸出しの環とクールなハルヒ、それを取り囲むホスト部のメンバーですが、ボストンでもそれは変わらず、だけどそれに恋愛要素も加わって、この作品が大好きな私にとっては最高に面白い終わり方だったなと思いました。