この作品は少女漫画にしては、珍しく恋愛以外の要素が非常に充実しています。
もちろん恋愛面も面白いのですが、しょっぱなから主人公たちがどこだかわからない場所にいるというのが特徴です。
またキャラクターも主人公が誰だかわからないほどたくさん出てきますので、このキャラクターが今後どうなるのかという点が非常に気になってしまいます。
少年漫画でしたらば主人公がわかりやすいのですが、あえてわからないようにして緊迫感を読者に与えているのだと思っています。
私が特にこの漫画を好きな点は、様々な人に様々な背景や人生があるということです。
どうしても主役級以外は描写が薄くなってしまう漫画が多いのですが、7SEEDSにおいては、どんな人にもこの出来事に巻き込まれるまでの人生があり、それぞれの価値観を持っているということが読めばすぐにわかります。
主人公の一人は、非常に意志の強い少女ですが、ほかの主人公たちと衝突を繰り返してしまいます。
その時に、作者は明らかにどちらかが悪いという書き方はしないのです。
それぞれのキャラクターたちが、相手の人生を鑑みてそれなりの新しい結論にたどり着くのが非常に面白く、少女漫画なので女性はもちろん男性にも多くのファンがいるのが納得できます。
大きな流れを説明すると、地球が崩壊してしまうので若い人たちをコールドスリープさせて未来に飛ばし、人類の命運を託したという話です。
選ばれた人たちは、みな季節にかかわる名前を持っています。
グループも一つでなく複数あり、それぞれのグループに特色があるのが面白いです。
そのうちの一つのグループは、一人を残して全滅してしまってします。
さらに、そのグループは、ほかのグループよりも10年ほど早く目覚めてしまっているので、その後ほかのグループと出会ったときに、同年代だったはずなのに、一人だけ30前後の大人になっているのです。
あえて細かい描写を作中ではしていませんが、それが逆にその唯一の生き残りの人が、どれほど厳しい10年間を送ってきたのか想像させてくれます。
ほかの主人公たちと同じ高校生だったはずなのに、一人で10年も誰もいない地球でさまようのは、どれほどつらいだろうと、架空のキャラクターなのに読者に考えさせてくれます。
それほどこの漫画は、キャラクター描写が丁寧だということでしょう。
またこの作品のキモとして、チームの名前が四季の名前だというのもあげられます。
春夏秋冬の四つのチームだと思うのが普通ですが、夏のチームだけ二つチームがあるのです。
一つは、人類滅亡後の地球を生き残るのを目的として、子供たちを競わせ殺し合いをさせた結果の五人が属するエリートグループ。
もう一つは、落ちこぼればかりを集めた落ちこぼれグループ。
エリートグループは、生き残ることだけを考えて教育されているので、滅亡後の地球で生き残るスキルには非常に長けていますが、その代わり心がどこか欠けています。
そのため他のグループと様々なトラブルを起こすのは、この作品の見どころだと思います。
一番印象に残っているのは、主人公の一人の気の強い少女に暴行をしようとするところです。
結局はすんでのところで未遂と終るのですが、そのことは少女にも、暴行を行おうとした男の子にも深い影を投げかけます。
その衝撃の出来事から、どのように二人が抜け出し新しい未来へと踏み出すかは、後半の山場だと私は思っています。
男性にも女性にも間違いなく勧められる作品で、冒険の楽しさと恋愛の面白さが十分に含まれている名作なのは間違いありません。
私は男性の友人にも勧めていますし、みんな面白いと言っています。
人によって面白いと感じるポイントが異なっているのがとても興味深い作品です。
楽しみ方は無限大なのでしょう。