私が第9巻で好きな話は、保育ルームに根津君の妹の恭子ちゃんが遊びに来る話です。
保育ルームの奇凜ちゃんが女の子らしい遊びをしたくても、活発な男の子に囲まれてなかなか遊べないのは淋しそうでした。
でもそんな時に同じく、男兄弟に囲まれて一緒に遊べない恭子ちゃんが来てくれた事で楽しく遊んでいる姿が見れて「奇凜ちゃん、恭子ちゃん良かったね」とキャラクター達に向かって声を掛けたくなるくらいホッとした自分がいました。
またこの話の良い所は、新しい友達との素敵な出会いという部分だけではなく、改めて感じる兄弟愛と友情という所もあります。
奇凜ちゃんは保育ルームの鷹君と喧嘩しますが、恭子ちゃんが家に帰ってしまって泣いた奇凜ちゃんを鷹君が励まし、他の保育ルームメンバーとも更に絆が深まります。
どうしても大きくなると男女の関わりが減ってしまいますが、小さい頃はやりたい事が違っても男女関係なく仲良く出来る関係って良いなと思います。
そして恭子ちゃんも男の子同士で遊びたい年頃の双子の兄2人に一人にされていましたが、自分が保育ルームに連れていかれた事を知った兄達が、遊びを中断してまで迎えに来てくれます。
やっぱり双子にとって妹は本当に大事な守るべき存在で、素敵な兄妹だと思います。
そして裏でもう一つの友情の形を見ました。それは恭子ちゃんと双子の兄、根津君と友人の山羊君です。
公園で一人で遊んでいた恭子ちゃんを保育ルームに連れて行ったのは山羊君です。
根津君は山羊君の子供が好きすぎる部分には引いていて、弟妹達には「変態には近づくな」と言って警戒させています。
でも恭子ちゃんを連れていった山羊君を責める事はありません。
それは恭子ちゃんの一人で遊ぶ寂しさも分かっているし、新しい友達を作るきっかけを作った山羊君に感謝している気持ちがあるからだと思います。
だからこそ、この話の最後に恭子ちゃんが、根津君に「ともやくんはへんだけどやさしいおにいちゃんだったよ」と言った時に「まあ、そうだな」と返しているんだと思います。
口では何だかんだ言っても山羊君の優しさを知っているからこそ言える台詞だと思います。
山羊君は山羊君で兄妹思いだけどアルバイトなどで忙しい根津君の為にも、何か出来る事をやってあげたい気持ちがあったと思います。
一つの話から色々な愛や友情の形を見る事が出来るのでとても面白いです。
あとこの話がきっかけで保育ルームメンバーと根津兄妹が絡む話も増えてくるので、今後のきっかけになる話としてもとても重要な話だと思います。