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ふしぎ遊戯 全18巻 感想とご紹介

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主人公の夕城美朱(ゆうきみあか)と美朱の親友本郷唯(ほんごうゆい)が受験勉強のために図書館に行き、偶然美朱が立ち入り禁止の部屋で見つけた「四神天地書」という本の中に二人とも吸い込まれてしまい、美朱と唯は紅南国(こうなんこく)で鬼宿(たまほめ)と出会うところから話が始まるのですが、このふしぎ遊戯は四神天地書を使って紅南国、倶東国、西廊国、北甲国それぞれの国にいる七星士を探し出し、神獣を呼び出し国の平和を守る巫女となるというお話使命を背負い、美朱は紅南国で朱雀七星士を探し出していくことになります。

この紅南国の朱雀七星士の中にいる柳宿(ぬりこ)が関わる話は何かと感動する場面が多く、特に美朱と出会った初めの頃のことを知っている読者からすると、読み続けていく中で何度も読み返したくなる柳宿の最後のシーンは本当に涙が止まらなくなります。

最初紅南国の後宮の女中として同じく七星士で紅南国皇帝の星宿(ほとほり)のもとにいたのですが、星宿が突然現れたどこから来たのかも分からない美朱ばかりを気にかけるのが気に入らず、掃除をしていた美朱に意地悪をしたり、大切にしていたイヤリングをなくしてしまったと美朱に嘘をついたり、とにかく意地悪をして美朱に辛く当たっていて、それでも美朱は柳宿と仲良くなろうと懸命に接していた話があり、普通ここまでされたら好意にしてくれる星宿を頼ってどうにかやめさせてほしいと頼んだり、それでなくても自分のことが嫌いなら仲良くなろうとは思わないのに、美朱の優しさと、星宿に私が言ってあげようかという提案に対して自分でどうにかするからと言った場面が印象的でした。

また、実際に仲良くなって他の七星士を探しに旅に出た先で嵐のせいで舟から美朱、鬼宿、柳宿が落ちてしまい、偶然みつけた岩場に三人で避難したのですが、なんとそこで柳宿が実は男であることがバレるというシーンがあり、こんなに綺麗なのに男!?と驚いたのもそうですが、なんでわざわざ女性の恰好をしてまで後宮にいたのかも気になりました。

この話についても後々わかってくることなのですが、実は柳宿には三人の兄弟がいて、柳宿は次男、その下にこうりん康琳(こうりん)という妹がおり、その妹が馬車に轢かれて亡くなってしまい、柳宿は妹の代わりに自分が康琳として妹の分まで生きていこうと決めたという話を読んだ時には本当になんでこんなに優しいのかと、泣けてくるしここまで妹思いの兄である柳宿が大好きになりました。

さらに、ふしぎ遊戯の後半では儀式に必要な神座宝を探すために北甲国(ほっかんこく)に旅立ち、やっと神座宝をてにいれるための祠にたどり着いたところで運悪く、敵国の倶東国青龍七星士である尾宿(あしたれ)が美朱たちの前に現れ、美朱、柳宿の行く手を阻み戦闘になってしまうのですが、この時美朱のそばには柳宿以外の七星士はおらず柳宿一人で尾宿の相手をすることになってしまい、激闘の末に尾宿を倒したはずだったのですが、息の根を完全に止めることができていなかったために柳宿の腹部を尾宿の鋭い爪が貫き、柳宿に致命傷を与えることになりました。

何とか一命をとりとめ…、太乙君から授けられた七星の力を増幅する腕輪の力を借り、祠を守るようにして入り口に置かれていた大きな岩をどかすために最後の力を振り絞った柳宿はそこで力尽きてしまいました。

やっとの思いで神座宝ありかを突き止め入手が目前に迫っているという場面でのこの展開に、本当になんでこんなことになってしまったのか、自分がその場にいたわけではないけれど本当に本の世界に入っているような感覚で、悔しさで胸がいっぱいになりました。

七星士の一人で治癒の力をもつ軫宿(みつかけ)が後から他の七星士と一緒に美宿と柳宿のもとに駆け付けた時にはもう遅く、あと少し早ければ助かったかもしれない、もしかしたらあの岩をどかさなければ軫宿たちの到着まで生きていられたかもしれないのに。

そう思うとやり切れない気持ちでいっぱいになりました。

最初は美朱との仲も悪く、なんでこんなに意地悪なんだ!と思っていましたが、最後には作品中で一番好きなキャラクターになっていました。


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