知的障害のあるゆずは、事故で亡くなった「草ちゃん」との間にできた赤ちゃんを無事出産し、生まれた女の子に、草ちゃんが亡くなった時最後に握っていた花、「ひまわり」と名付け、家族や周りの力も借りて、懸命に新米母としてがんばっています。
赤ちゃんのオムツやミルクの時間を守れないゆずは、大きな表をつくって壁に貼り、母に叱られながらも懸命に奮闘するんです。
強面の保健師から見るとまだまだ出来の悪いゆずですが、とても温かい、真摯な愛情を感じ、こちらも幸せのおすそ分けをもらった気分になります。
2巻では主に「教える」ということに関するエピソードです。赤ちゃんが幼稚園前というレベルでは正直、母親が知的障害者かどうかはあまり関係ないのかな…と個人的には思っていたのですが、どうしてどうして、結構深刻な壁にぶつかってしまう、ゆずなのでした。
まずは離乳食を取らせるのに奮闘しています。
ひまわりがベーっと吐き出すので、可愛そうになり強制できなくなってしまうんです。
また、ひまわりが楽しそうだからという理由で、いたずらをとがめることができず、泣きながら雑巾を持って後を追いかけていたりします。
読んでいると「ダメ」と叱ることよりも、ゆずのピュアすぎる心の方が正しい気がしてきたりして、ちょっと悩んでしまいました。
娘への愛情は人一倍ながら「しつけ」「教育」と言うものがあまり理解できないゆずの気持ちは「楽しそうだから」「だって、やってくれないから」。
強権発動できない学校教諭を思い浮かべてしまいますが、そもそも指示するということが、ゆずには向いていないわけです。
そんなゆずにも、いよいよ娘を怒る場面が訪れます。
亡きひまわりの父の形見の「亀」を乱暴に扱われる事は我慢ができなかったようで、親子で大バトルが繰り広げられます。
ドキドキする場面ですが、2人にとって幸せなのは、支援スタッフが保育園を探してくれたり、家族が双方に助言をしてくれたりする環境だと思います。
しかも、独りよがりでゆずをどうこうしようとはせず、話し合ってゆずの支援をしているんです。素晴らしいことだと思います。
むしろ健常者の夫婦や実家には、こんなに相談できる環境はないなと思い、ちょっと憧れてしまいます。
ひまわりが入ることができた保育園で理解あるママ友も得て、ゆずが母親としてどんどん成長していく様子は結構頼もしいです。
悩みがあってもいつも愛情と笑顔を忘れないゆずのことを、こちらも「だいすき」になってしまいました。