「恋するリトル」は集英社発行の「別冊マーガレット」で連載されていました。作者は新人の青山はるのさんです。
話がわかりやすくまとまっていて、全1巻なので読みやすくておすすめです。
主人公は高校1年生の水戸ちはるです。ちはるは中学生の時に始めた陸上に打ち込む、何事にも一生懸命な女の子です。
ちはるが陸上部の練習を頑張っていたり、小柄でかわいらしい雰囲気から先輩にかわいがられていたりと、読んでいてこちらも応援したくなるようなキャラクターです。
初恋もまだまだといった、すれていない雰囲気もとてもいいなと思いました。
そんなちはるの前に現れたのが、隣のクラスの結城智広というバスケ部所属の男子生徒でした。
結城とちはるはふとしたきっかけから話をするようになります。お互いに部活に熱心に打ち込んでいて、他の生徒にはわからない何かで通じあっているようでした。
二人のやりとりがとても微笑ましいです。
特に印象に残っているシーンは、陸上部とバスケ部の練習で夜遅くなった時、結城がちはるを送っていく、といったシーンです。
送るといっても、結城がちはるの家の近くまで自転車を押して一所に歩くシーンですが、ちはるにはデートのような感覚でトテモドキドキしているのが、ページを通して伝わってくるようでした。
女の子扱いされるのって、こんな感じなのかと思うちはるもかわいかったです。
少しずつ結城のことを好きになるちはるでしたが、結城の前に中学校の同級生で他校に通う麻里奈が現れます。
麻里奈は中学のバスケ部のマネージャーで、その頃から結城のことが好きでした。
しかし麻里奈はわりと男っぽいというのか、サバサバした感じの女の子で、結城とも気軽に話をする代わりに肝心なことを言えなかった、というところが見受けられました。
麻里奈はちはると結城の高校の文化祭にやってきて、結城のことが好きな様子のちはるを牽制する、といったことをしました。
この頃には結城にとってもちはるは特別な存在になりつつあるようでした。この辺の、少しずつ関係が変わっていく過程に読みごたえがありました。
結城がちはるの話をしている時の表情などから、麻里奈がつい「いいな、水戸ちゃんばっかり」などと言ったところは、年相応な女の子みたいでかわいく思いました。
麻里奈も結果的にはフラれますが、最後には素直になって結城に気持ちを打ち明けられてよかったです。
それぞれに陸上一筋、バスケ一筋だったちはると結城がお互いに好きになる過程がじっくり描かれていて、読後感がほっこりするので何度も読み返したくなる作品です。