凪のお暇、6巻 感想
※ネタバレ注意です※
ドラマ化で話題の凪のお暇、どちらも面白いですがやはり原作の作者さん特有の文章表現が大好きです。
他人に興味のなかった自分に気付き、それを認め、前に進んだ凪ちゃん。
いい感じにこなれてきたようで、スナックバブルのママやうららちゃんママなどの人生経験豊富な方々から見ると、その「こなれ感」に危うさが感じられます。
一方、無自覚ストーカーの元カレ我聞くんは俄然顔が好みの後輩、市川ちゃんといいかんじになり、凪ちゃんのことを吹っ切れそう。反対に、ずぶずぶの関係から抜け出したお隣のゴンさんは凪ちゃんへの純粋な恋心が芽生えつつも極度の天然により本人無自覚の模様。
そんなかんじでふわっと周囲から離れつつある凪ちゃんの元に、トラウマの毒母襲来が迫ってきます。
ここで、これまで凪ちゃんサイドからしか見られなかった凪母の生活がちらりと明かされます。
田舎に閉じ込められ、(おそらく勝手に閉じこもっている)周囲の負の雰囲気、田舎特有の当然の男尊女卑、傍で面倒を見ても自分を非難する老いた母親(凪の祖母)。
この描写は、凪の母親にも同情してしまいました。
しかし、甲斐甲斐しくも「この田舎から抜け出して」と娘を思う母親と見せかけて、そこに便乗して自分が田舎から抜け出すため、という他力本願な欲望を抱え娘を所有物として扱う凪母。
本心が語られ、その同情心もなくなりました。
あくまで、「あなたは自由に生きて」ではなく「わたしの理想とする娘になって、わたしを連れ出して!」なのですね。
そんな母との対峙、結婚式当日。
母の求める「ちゃんとした感」は演出しつつも、天パの髪の毛はストパーなどで誤魔化さず、ありのままではないけど自分らしいドレスアップ姿の凪ちゃん。
まずは平和に再会を果たします。
従姉妹の結婚式が終わり、ニコニコとする母に、凪は小さい頃からの癖で、母が喜ぶ「母の本心の代弁」で、思ってもいない従姉妹や田舎の親戚たちへの陰口を綴ります。
どんな形でも、こんなに嫌悪しても、子は母の承認や笑顔を求めてしまうのですね。
そこで、彼氏代理をお願いしていた桃園登場…の予定がなぜか我聞くんが現れて6巻終了です!!!先が気になりすぎる!!!
基本は純粋で前向きに頑張る凪ちゃんですが、時折ダークサイドが見え隠れしていたのは母親の顔色を伺う幼少期で出来上がったものなのですね。
でも、こんな自分が嫌いと気付き、好きな自分になれるよう何もかも捨てた凪ちゃんはすごい。
おそらく、そのまま他力本願になんとなく生きていれば、仮に我聞くんとの付き合いが上手くいって結婚出産をしても自分の母と似たようなことをしていたのでしょう。
そして我聞くんがどんどん好きになってしまう私には、今回のラストは燃えたぎるものがありました。
これからの展開が楽しみです。