イタズラにさよなら　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『――いつか この日がやって来るとは思っていた』

「…お話とは何でしょうか ケンドール様」

「イリス 君との婚約関係を破棄させてもらう　　僕はきみの妹君であるヘレナと婚約することにした」

「うふふっ」

「魔術師の家系に生まれながら 何の魔法の属性も認められない君は 僕には相応しくない　　…わかるね？」

「…承知いたしました」

「さあこれでやっと君と一緒になれる！ 愛しいヘレナ！」

「ああ 嬉しいわ…！」

「お姉様 ご安心なさってね」

「ケンドール様は 光魔法を持つこの私がお支えいたしますから」

「っ…失礼いたします」

「……ケンドール様」

《イリス》

「…あの優しかった頃の貴方は…もうどこにもいないのですね…」

「うぅっ… ああぁ…っ…」

「イリス！」

ドン　ドン　ドン

「イリス！！」

「！」

「はい お母様…」

カチャ…

「まあ みっともない顔！」

「お母様なんて もう呼ばないでくれるかしら？　　私の娘はヘレナだけよ」

「婚約破棄の件 聞いたわよ　　彼ほどの騎士には ヘレナのように才能も美しさも兼ね備えた娘が相応しいものねぇ？」

「お母様の仰る通りですわ！」

（ケンドール様が出世される前は 全く逆のことを言っていたのに…）

《あんな冴えない男　あなたにはお似合いね！》

「ほら お姉様！ これを見て？」

「ケンドール様が贈ってくださったの」

「…！」

「できるだけ早く結婚式を挙げたいと仰っていたわよ」

「お姉様が婚約されたときは指輪を頂かなかったの？　　私 お姉様が指輪をしているところを見たことがないわ」

「やはりお姉様との婚約は本気ではなかったようね！」

「っ…離して！」

「あなた 元婚約者が住む家に このまま居座る気はないわよね？」

「…はい」

「この家を出ていきます」

「良かった　　荷物をまとめたら馬車をすぐに用意させるから 準備をしておいてね」

「うふふ それじゃお姉様 さようなら♪」

パタン…

「…困ったわ　　これからどうすればいいのかしら…」

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