邪神の花嫁、7巻 感想
※ネタバレ注意です※
ロキの かつての想い人である「シギュン」の生まれ変わり、勇者・陽色。
前世の思いを引き継いだ 陽色は、ロキと共に ついにオーディンとの戦いに臨みます。
戦いの場となってしまった アールヴヘイムの街には、フレイとトールも来てくれました。
そして もう1人、陽色が兄と慕う 灰人も――――
灰人の正体は オーディンの子孫。彼は 右目に、「神の力を討つ」能力を持っていたのです。
もし、その右目が オーディンに奪われたら、オーディンは 元の完全な力を取り戻してしまい、
人間界を 一瞬で吹き飛ばすことも、可能になってしまいます。
ロキたちが 敵を足止めして 時間稼ぎをしている間に、灰人を殺すことを強いられる 陽色。
しかし、灰人を手に掛ける事など出来ない 陽色のため、自ら 右目を潰し、川に身を投げてしまうのでした。
最高神の子孫にも関わらず 身を投げた人間に対し、怒りを爆発させる オーディン。
陽色の心は、怒りで いっぱいになってしまいます。
激しい怒りと憎悪によって、陽色は その剣に破壊の力、「神殺し」の力を宿しそうになるのです。それこそが ロキの思惑でした。
ところが、剣の力が どす黒く変化しかけた時、良くない事と察したレヴィが 懸命に変化をこらえてくれます。
その結果 陽色はオーディンに吹っ飛ばされてしまうのですが、フレイとトールのおかげで 無事に復活しました。
一方、陽色が死んでしまったと思っているロキは、全力でオーディンと戦います。
「…新しい世界なんて 始まらない、陽色のいない世界なんて いらない、全部、壊してやる」
「シギュンが死んだときも そうやって癇癪起こしてさ…、あのときは僕の右目を奪うことができたけど…結局 僕に捕まって…、せっかくシギュンの生まれ変わりまで連れてきたのに、また同じことの繰り返しじゃないか、邪神に運命を変える力なんて ないんだよ!!」
怒りと絶望の表情を浮かべる ロキ…。そこに、陽色が戻って来ました。
「あたしは勇者よ、邪神(あく)を残して 死んでたまるもんですか」「…オーディン神…、あたしには あなたの孤独は わからない、救うとか 助けるとか… そんなこと おこがましくて とても言えないよ、…でも、手伝うことなら…できる」
陽色は 変化した剣で、オーディンを刺します。オーディンの記憶と神格を封じるために――――
ついに完結! 勇者の心を貫き 最後まで戦い抜いた陽色が、とても格好良かったです!
そして、「孤児院のおねぇちゃん」として 子供になったオーディンを見守る、その優しさに ジーンとしました。
灰人も どこかで生きてくれているみたいだし、みんなが幸せに暮らしているラストで 嬉しいですね。
物語は結末を迎えたけれど、セクハラ三昧の悪行を繰り返す 邪神を倒すための、陽色の旅は まだまだ続くみたいなので、寂しさを感じるよりも わくわくドキドキした気持ちで読み終える事ができました!