帰る家には恋がいない｜最新話7話【無料】ネタバレ

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

『あの時　　つかみそこねた 思い出を』

『宝物のような日々を』

『10年経ったいまも 手放せずにいる』

『でも きっと私のことだから　　このまま 奇跡も偶然も起きない日々を過ごすんだって』

『そう思ってたのに』

「今日からデザイナーで入ってくれる 白井 紘くん　　関西支社で めっちゃ優秀な子でね 即戦力よ～！」

「笹本さん 同郷でしょ？　　いろいろ教えてあげてね」

「まっ」

『なんで』

『どうして』

『こんなところに』

「白井…さんは ずっと関西でデザイナーのお仕事されてたんですか…？」

「まぁ 中途で入ったので２年目ですけど …笹本さんは？」

「わっっ…　私は新卒で… ディレクターの何でも屋なんですけど」

ゴッ

『！？』

「って――…　…今日 コンタクト忘れて」

「そんなことある！？」

「朝 寝すぎて うっかりしてた」

『うっかり！』

「大丈――…」

じっ

ビクッ

じ――…

『なに…』

「……ねぇ　　もしかして…」

「―――っ」

「あっ明日からは忘れないようにしてくださいね…！」

「じゃあね 白井くん！」

『気付いた？ 私だって』

『でも どうしよう』

『青天の霹靂』

『息が止まるかと思った！！』

「ヒロ２号！」

「白井くんが会社にいた！」

『笹本莉子(27)　　生まれていままで彼氏ナシ』

『夢みたいなことが起きてしまいました』

〈えっ 会社にいたの！？ あの白井くんが？〉

「そう！」

〈白井って 莉子が高校時代ずっと好きだった白井？〉

「そう！」

〈告りそこねて いまだに引きずってる白井？〉

「……」

「別に… そんなずっと好きだったワケじゃ…」

〈同窓会のたびに どきわくしてたやつがよく言うよ〉

「いいの 私は再会できただけで天国ですから…」

「白井くん 相変わらずマイペースで かわいすぎ 私服センス良すぎ いい匂いしたー　　のにテンパって挙動不審な態度しちゃった 死にたい…」

〈いや 告れよ！〉

〈そ…そういうのは いまさらっていうか…」

〈それで10年 経ってんでしょ！〉

『10年前　　高校の３年間 同じクラスだった男子』

『白井 紘くん』

〔――…笹本〕

〔プリント また出し忘れたかも〕

〔ずっと寝てたでしょ 私が代わりに出しといたよ〕

〔…いつもスミマセン お礼に用済みになったプリントをあげよう〕

〔お礼とは…〕

〔え？！　これ描いたの？ 上手！　　美術部じゃないよね？ 才能あるよ 美大進んだらいいのに〕

〔…褒めすぎなんだけど〕

〔え～でも めっちゃ すごい…〕

とん

〔じゃあ 大事に持っといてよ〕

『白井くんから もらったものなら 全部宝物だよ』

『だって 私は白井くんのことが好きだから』

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