LaLaDX 7月号 まともじゃないけど恋してる、読み切り 感想
※ネタバレ注意です※
待っていました、樫八重子先生の新作読み切り52P。飽きさせずに一気に読ませる勢いはやっぱりすごいです。「ひねくれ杉くん」も「山恋」もヒロインの性格がひと癖あって面白いわけですが今回のヒロイン立野さんもだいぶハードな性格です。周りからはヤンキーと怖れられ不遇な高校生活をおくっています。
家庭もちょっと複雑で借金を返すためにお父さんはマグロ漁船に乗っていて、お母さんも家を出てしまったので一人暮らし。そんな「まとも」じゃない立野さんに更なる不幸がおそいかかります。ひったくりにあって全財産を失うことに。アパートの更新もできず路頭に迷いそうになったところに、タイミングよく地主の息子で優等生のツルくん(鶴機くん)の変態行為を目撃するという事件が勃発。立野さんは持ち前の強気でツルくんをゆすって住む家を確保しようとしますが・・・。ツルくんが案内してくれたのはツルくんが一人で暮らす大きな日本家屋。行き場のない立野さんは仕方なくツルくんとの同居生活をはじめます。
・・・っと、ラブコメ的うれしはずかし同居あるあるが繰り広げられるのかとおもいきや、なんだかちょっと様子が違います。ツルくんちょっと変わっている?あれ?ツルくんは立野さんをすきのなかも?でもいつどんなつながりが?立野さんがクラスメイトから集金袋を盗んだのではないかと疑われそれを助けるツルくんですが、なんだかちょっぴり違和感が・・・。
「立野さんは悪い人じゃない」と言い切るツルくんに立野さんは自分の過去を話します。子供の頃に血が出るほど人を殴ったことがあると。「私はツルが思っているような人間じゃない」という立野さんの告白に、急にスイッチが入ったようにしゃべりだすツルくんがヤバい。実は立野さんが人を殴った原因はツルくんを庇ってのことだったのです。殴った相手が血を吐いたのは抜けかけた乳歯が抜けたから。その歯で立野さんは手を切って傷が残るほどの深手を負っていたことを知って、自分のことを悪い人間だと思い込んできた立野さんの心も少し癒されます。ツルくんは助けられた時からずっと立野さんが困ったとき恩返しをしようとその瞬間を待っていたのです。
ココからの展開が二転三転、甘いラブとぞわっとするホラーの波状攻撃のような感覚でした。最終的に二人は両想いになるわけですが、ツルくんは立野さん以上に何倍も「まとも」じゃなかったです。大丈夫なのか?立野さん。まともじゃないけど熱烈に恋をしてたのはツルくんの方でした。そんな2人のこれからが気になって仕方がない作品でした。