友だちの話、山川 あいじ先生、河原 和音先生、最終話 感想
※ネタバレ注意です※
自称他称共に冴えないヒロイン(英子)の可愛すぎる親友(もえ)の想いがはじめて描かれていて、どれだけもえが英子を大事に、いっそ愛しているのかがわかります。
モテ続け告白されるたびに「私以上に英子を大切にして」と条件をつけてきたもえの本音は、くすぐったさや照れくささというよりなぜ親友が男でないのかと頭を抱えてしまうような溺愛を表していて読んでいて清々しささえ感じます。どうしてそうなったのか?も少ないながらしっかり描かれていて盛り沢山の最終話だと思います。
いままで描かれなかったもえの気持ちを読むにつれ、もえがますます好きになる、そして英子の視点が描かれていないにも関わらず英子がもえを大切にしているという想いがよくわかる、そんな話でもあります。
最終話では英子にアタックする男子(鳴神)と、それを妨害したい もえと、そんな二人に気づかない癒し系の英子のくすりとくる不思議な放課後デートや休日デートの話が詰まっています。
ちょっとのことですぐ顔が赤くなり、二人きりは緊張するともえにヘルプを求める英子の可愛さにもえの気持ちが少しわかる気もします。
不思議デートのたびに鳴神は英子に相応しいのか?と試練を与えていくもえと気づかない英子。
試練をアピールになんとか変えてもえに自分を認めさせていく鳴神とやっぱり気づかない英子。
多分英子は天然で、それがまた魅力なんです。
最初は英子は自分が守らねば!本性みせろ!だったもえも鳴神がしっかりと英子の良さがわかった上で英子にアタックを続けていることを認め、英子も鳴神を悪しからず想っているように見えて、ならいいかなと鳴神からの告白のための呼び出しに英子を一人で行かせながらもやっぱり気になりこっそり着いていき聞き耳を立てるもえは、高嶺の花的今までのイメージを容易く払拭しています。
空き教室で繰り広げられる告白劇には先客がいて、それは1話目でもえと別れた天然風味の鳴神の親友(土田)です。土田が何だか穏やかに納得したようにその場を去ってからこっそり盗み聞きをはじめるもえの心の声が完全に英子一色なので、もえが英子を好きな気持ちがここでも強くでています。
しばらく黙って成り行きを盗み聞き、かつ覗き見ていたもえに飛び込む、鳴神からの告白に対する英子の「私と付き合うってことはもえと付き合うってことだから、もえを大事にしてくれるんなら!!」という返答に、自分が今までその台詞を使っていたのは英子と離れたくなかっただけで英子がそれを言う必要はないのだと叫びながら告白現場に突撃してしまうもえ。
気まずい空気が漂うかと思いきや、続けて「英子のカレシは私以上に英子を大事にする男じゃないと許さない!!」と言い切って、いやいや私だってもえが大事なのに!とそんなもえに駆けより完全に二人の空気が場を満たして鳴神が部外者扱いを受けるというパターンに。
空気になる直前に鳴神は英子のもえを大事に~発言にそれは厳しいと発言していて、結局妥協案として鳴神が折れ、まずはお友だちからとなります。
そこでまた鳴神のポイントがアップし、それでも英子ともえの手はしっかり繋がれていて、「(妥協したのは)仕方ないから」という鳴神の発言と合わせるとこれからの鳴神の苦労が推し量れて鳴神を応援してしまいます。頑張れ!と思わず声に出てしまうほどに。
鳴神的には史上最大のライバルはもえ。打倒もえ宣言をもえ本人にするため鳴神は真っ直ぐなタイプですが、もえは清々しいほど完璧に笑って「絶対ムリ」と断言。
英子の人生はもえの人生だからと言わん限りの笑顔を最後に後ろ姿しかみえなくなったもえと鳴神ですが、なんとなく鳴神の脱力してそうな表情を想像できて、後ろ姿の描き方や台詞のチョイスが秀逸です。