柊様は自分を探している。、最終話 完結8巻 感想
※ネタバレ注意です※
結果をいうと柊様と圭二郎、人間と種族の違う柊様の二人が一緒になったものの、やはり寿命の壁は越えられませんでした。
柊様は不死の存在。
柊様は、愛した圭二郎の死を見送るのは嫌でした。愛する者を見送って、一人置いていかれることが耐えられなかったのですが、そりゃそうですよね。愛した人は普通の人間なので、寿命には逆らえないけれども、その後一人になるなんて、誰でも耐えられないと思います。
最終話はいきなり、その後60年経過していました。
ガラの悪い若者二人がとあるコンビニの前で食い散らかしているのですが、コンビニ店員の老年になった武田が注意をします。
けれどもお約束で、ガラの悪い若者二人は逆切れして武田に暴力をふるうところを同じく老年になった圭二郎に助けられます。
「圭二郎」と着物を着た若い女性からの呼び声で武田は助けてくれたのが、圭二郎だと気づきましたが、武田は圭二郎を見てびっくりします。とても自分と同じ年寄りに見えなかったからです。髪こそ白髪なものの、顔つきは、学生時代よりも精悍になっており、体格もがっちりしていたからです。
武田は若い女性を見て、顔が柊様とそっくりなので孫だと勘違いしますが、女性本人から「武田久しいのぉ」と言われて固まってしまいます。まさか柊様が自分の話をしていたとしても、老人になった自分が話だけで分かるはずもないですから、さすがにわかったのでしょう。
圭二郎は相変わらず、修行に明け暮れていたせいもあるかと思いますが、やはり不死である柊様の影響をモロに受けたんでしょうね。ビジュアルはとても老人には見えませんでしたから。
年老いた圭二郎は修行の成果で、自分の死期がわかるようになっていました。
たった一言、柊に「必ず生まれ変わってくるから、また人を愛してくれ。」と、これを言うために自分は修行をしたのだと。
柊様は圭二郎の死を見送りたくなかったので、圭二郎にその時がきたら「殺してほしい」と言ってましたが、結局方法はなかったけど、もしあったとしても、傷付けるやり方なら結局は圭二郎はその方法は選ばなかったんだろうと思います。
圭二郎はそのセリフを殺し文句として、柊様に伝えたかったのです。柊様は結局その殺し文句で「殺された」と受け取り、圭二郎の生まれ変わりを待つことにしました。
ここまで、愛されたなら女として本望だなと思います。
生まれ変わりなんて不確定要素満載な話ですが、愛した男であり、また誠実であった圭二郎の言葉でもあるから、柊様も待ってみようとなったのだと思います。
これをハッピーエンドとして受け取れるか、というと微妙な気はしますが、ご都合主義が組み込まれていないお話の筋からすると、妥当なのかなぁという感想です。
自分的にはお話はハッピーエンドが好きなのでテンコ盛りに、ご都合主義が入っても嫌いではないのですが。
最終話の総じての感想は「切ない」でしょうか。結構泣いてしまったのですが、これの伏線が続きにある、番外編として、ありました!
番外編の話は圭二郎と出会う以前のもっと前の話です。
結果をいうと、圭二郎は2度目の生まれ代わりでした!(笑)
圭二郎がやたら修行をしていた理由がこの番外編にありました。
必ず生まれかわることを最終話で自ら語っていましたが、実は既に生まれかわりだったという(笑)
けれども番外編の話は全然笑えませんでした。切ないを通り越してむしろ号泣ものでした。どんだけ最終巻の1冊で泣かされるのだろう思いました。
しかし、この伏線があるからこそ、最終話の生まれ代わりという言葉は確定したと、思います。
いつになるかはわからないですけど、柊様がまた圭二郎の生まれ変わりに出会えてほしいなと切に思った次第です。