るろうに剣心 明治剣客浪漫譚、最終話 完結28巻 感想
※ネタバレ注意です※
るろうに剣心の最終話はとても良かったです。私が長年読んできた多数の漫画の中でも上位に入る最終話だったと思います。
最終話はこれまでの事件から数年後、弥彦が元服を迎える年から始まり、弥彦や剣心も少し顔つきも柔らかくなり、それもこれお平和な時間が過ぎ去ったことを意味しているのだと一目でわかる所が読者を安心させたように思いました。
また、弥彦の成長ぶりがベストな伸びしろで収められている所もさすがと言いうべきでした。弥彦はこれまで、剣心の後を追い、剣の道を究めようと子供ながらに一生懸命過ごしてきました。幾度となく、飛天御剣流を取得しようと剣心に詰め寄っていたが、結局教えを乞う事は無かった。弥彦は神谷活心流で師範代まで上り詰めた後の最終話。
剣心から元服の祝いとして逆刃刀を受け取るシーンが一番印象深かったです。これまでずっと剣心の後を追ってきた弥彦が逆刃刀を受けとった瞬間、重い。と心の中で言った。この一言にはただ、刀の重量が重いというわけではなく、これまでの剣心が刀一本で背負ってきた人生の重みを弥彦は感じ取ったのだと思いました。
これを受け取るという意味はただ祝いとして頂いたものではなく、この剣心の思いを繋ぐという意味合いも込められているのだと感じました。このシーンには男同士の約束というものが感じ取れ、最終話にふさわしいシーンとなっていたように思います。
また剣心が刀の授ける前のシーンにて、道場で一本勝負を行う瞬間があります。剣心は長年の激闘で、身体の負担がピークになり、飛天御剣流もほとんど使えなくなっていたが、それでも弥彦からすると、剣気は衰えておらず、現役当時の威圧感を感じていた。ここからさすが剣心は、常人離れした剣客だったんだなと再認識させられる一面であった。
この二人の掛け合いから、時代が移り変われば、人と人も世代交代をする。これが世の常なんだという事をしっかり描写している所に、現実離れしたフィクションの世界だけでなくしっかりとした史実を基に描かれたこの漫画の良さを最後まで引き出していると感じました。
そして、最後に剣心と薫の間に授かった息子、剣路。素直に可愛い。剣心の性格である緩急の良い部分と薫の性格も一部であるキツイ部分を上手く掛け合わして少ないカットで的確に表している点が読者として、あ~2人の息子だわ。としみじみ感じさせられる。この剣路が今後どのような青年になるのか、父と同じ剣才を受け継いでるのか、気になってたまらなく、続編で剣路の成長の過程を是非見たいと感じさせてしまってました。
また剣路の父嫌いで薫大好きな部分がまだまだおこちゃまなんだなあと感じさせるが、剣心の強い精神を受け継いでいそうな絵のタッチがたまらなくしんみりします。最終話最後のシーンでとりあえず、お疲れさまと剣路の手で剣心の肩をポンと叩くシーンがこれまでの剣心の長い闘いからやっと解放された感が凄まじく湧き出ていた。薫と知り合う以前からの剣心の人生全てが報われたんだなと感じさせるラストとなっており、思わず感動と安堵のため息が読み終わった後に出てしましました。そして、もう一度最終話を最初から読んで登場キャラクターの時間の経過による成長ぶりを感じながら読んでしまいました。
るろうに剣心の最終話は、これで物語は終わってしまうのはなんだか寂しいなと感じさせ、その後のストーリーや弥彦や剣心、剣路の動向を描いて!と要求したくなる最終話で、スッキリした最終話でありながらどこか物足りなさを残して、次回作を期待せざるをえないとても良い最終話だったと思います。
時代物の漫画はこれまでたくさんの種類が世に出ていますが、その中ではトップと言える出来栄えとなっている事間違いなしだと思います。