360゜マテリアル、最終話 完結8巻 感想
※ネタバレ注意です※
滝君という不思議でつかみ所のない彼氏と別れた美桜。美桜は丸井からの好意を受け止め、知らず識らずのうちに好意が芽生えていたのです。
それに気づいた滝君は、美桜に別れを告げました。その流れが本当に悲しくて、滝君は確かにわかりにくいし何を考えているのか分からないけれど、彼は本当にいい子なのだと、共感さえ湧いていました。
自分自身も不思議ちゃんなので、滝君にとても共感出来るのです。
美桜が別れた事で、丸井は今まで何気なしに伝えていた好意を、あからさまに見せてくるようになりました。
丸井もこれならいけるだろうと思っていたのでしょう。押せ押せ攻撃でかなり美桜に積極的でした。
もしかすると丸井も良いかも、というのは分かります。彼は確かにカッコいいです。
スポーツも出来れば女の子の扱いも上手いですし、なによりとても優しいので。
美桜ももしかすると丸井に心を入れ替えるのでは?と思ったのですが、美桜の頭の中には滝君でいっぱいでした。
彼の笑顔であったり何気ない一言であったり。美桜は夏祭りに丸井と一緒に行きますが、彼のことを見れませんでした。
ずっと流されてばかりだった美桜が、ようやく自分の意思で否定したのです。自分は丸井とは付き合わない、と。
美桜は女の子らしくてとても可愛いです。容姿が良いとかではなく、性格がさっぱりとしていて素直なのです。
それが彼女の良さでもあったのですが、同時に話をこじらせる原因ともなりました。
ここでバシっと言ったのはとても良いなと思いました。けれど丸井の方はショックですよね。
かなり同情してしまいました。けれどそれでぐちぐちと文句を言わないのが丸井のカッコいいところです。こんな良い人は居ないと思います。
そして滝君の方でも心情の変化がありました。
彼に助言をしたお姉さんは、さすが鋭いなと思いました。姉だからこそわかる弟の心の変化であったり弱いところであったり。
滝君はかなり不器用です。顔はカッコいいですけど、自分の中で完結してしまいがちです。頭の良さゆえなのか、それで終わってしまうのです。
そこにお姉さんの鋭い一言が入ります。最終回の中で一番ビビッと来たのはこのシーンでしたね。あんたは傷つくのが怖くて逃げたんだ、と。
確かに美桜は自分の口から、丸井が好きになったとは言っていません。滝君の判断基準も、見てたら何となくです。
二人のすれ違いから遠く離れてしまい、収拾がつかなくなっていたのです。
お姉さんの一言は本当に救いでした。それでようやく、滝君は美桜に本当の想いを打ち明けるのでした。
この漫画は全体的にフワフワとしていて、とても癒されます。
最後の告白のシーンでも、滝君が情熱的に愛を語るのではなく、「俺の事嫌い?」からの「俺の事好き?」ですから。胸キュンポイントとしてとても高いです。
また、最後のシーンに入る前に、滝君の幼馴染である茜が、丸井に告白をします。それはもうツンデレで素直じゃない、上から目線で彼女らしい告白を。
ここは漫画の中でその後を描かれる事はありませんでしたが、きっと先輩後輩として変わらない関係が続いているんだろうなたら思うと、微笑ましくなりました。
めでたく二人は恋人に戻るという訳ですが、最後の最後のシーンで、二人は駅に立ちます。
それは美桜と滝君が知り合うきっかけとなった場所でした。
飛行機雲、と言って指差す彼を白けた目で見ず、本当だねと言って返す美桜は、本当にいい子だなと思います。
フワフワと優しくて、絵柄もとても可愛らしいです。
美桜の髪型も毎回凝っていて、浴衣の時の結った髪など本当に綺麗でした。
全体的に優しくて幸せな気持ちにさせてくれるような、そして飛行機雲を見上げたくなるような、そんな最終回でした。