うえきの法則、最終話 完結16巻 感想
※ネタバレ注意です※
あらすじとして、この作品はいわゆる異能力者の胸が熱くなる様な少年漫画です。主人公たちの設定は中学生です。
最終話に至るまでの主人公たちの葛藤などを読んだ上で、最終話はとても泣けるお話でした。
最終話の前半は最終決戦を終えたばかりのところです。主人公がラスボスに自滅覚悟で戦って勝ったところから始まります。
遠くから見ていた仲間たちはなんとかそれぞれ、その場に集まり始めますが、一人だけ間近で見ていたヒロインが主人公が自滅覚悟で戦いいなくなってしまったことを告げ、悲しみにくれる仲間たちのところに、かつて主人公たちと戦い心を救われたキャラクターがボロボロになって気絶してしまった主人公の仲間を背負ってやってきます。
主人公の仲間が、どうしてその仲間がボロボロになってるのかと問い詰めると、問い詰められたキャラクターはその仲間の状態の経緯を話しだします。
その話を聞いていた、間近で戦いを見ていたヒロインは話を瞬時に理解し、土煙のまだ舞う主人公が戦った場に目を向けると、そこには消滅するはずだった主人公が立っています。
読者もきっとそこで皆、涙を浮かべるであろう瞬間だと思います。
しかし、それよりも生存の可能性を見つけたヒロインが言葉をなしにまっすぐにそのキャラクターに涙をこぼしながら、笑顔を浮かべながら飛びつくシーンは何度見ても、泣けるシーンだと思います。
良かった…そんな安堵するシーンの次ページを開くと、思わず笑ってしまうようなギャグ展開が繰り広げられます。
そうだ、彼らにも日常があるのだと思わせるようなシーンだと思います。
また、ラスボスが主人公と戦うときに自分の夢は全部滅ぼして一人になるのが夢だと、主人公に言いますが、主人公はこのラスボスと戦い終わったあとに、このラスボスに怒るわけでもなく、憐れむのでもなくただただ、素直に「叶った時に一緒に喜び合える誰かがいるから、”夢”なんだろ」と真っ直ぐな目で言ってしまう。
そういうところにこの主人公の良さがすべて詰まったセリフではないかと思いました。
そこからは、今まで戦ってきた敵だったもののこれからの明るい未来を歩む姿を見ながらのお別れをしますが、主人公は別れる悲しさよりも、明るい未来を歩もうとしているキャラには嬉しかったと笑顔で素直に伝え、もう、二度と会うことのできなくなるキャラにも涙を見せるのではなく屈託のない笑顔で、「お前が友達でよかった!!」というシーンや、一緒に戦ってきた仲間たちのこれからの未来の話、そして涙の別れ。
このシーンは長かったけれども、来てしまう別れに涙しながらもそれぞれが、それぞれの足で未来に向かって歩き出すコマだと思うと胸がとても暑くなるページだったと思います。
そして月日が流れ主人公は…という展開になります。
主人公はかつて勉強ができる才能を失ってしまって作中にも苦労している姿を度々見せていましたが、主人公の努力をすれば才能などいらないという思いがようやく身になり始めたというところから始まります。
そしてヒロインは才能がなくても努力すればどうとでもなるのかもしれないと、話し出します。
しかし、戦いを終えた主人公には戦いを終えたあと神様から一つだけ望む才能を授かっていました。
それを教えろとヒロインは言いますが主人公は言いません。
次のコマではヒロインはあんな戦いが嘘だったかのように平和な日々を過ごしているけれどたまにだったらいいかなと思う、と思い馳せていると先生が新しく赴任してくる先生を紹介し始めます。
赴任してきたその先生は、生徒たちに「Boys be "Justice" !!(少年よ正義を抱け)」この言葉はかつて主人公の恩師が主人公に教えたことです。
その恩師は作中、主人公たちを守るためにいなくなってしまいました。
しかし、またこうして会えるようになったのは、主人公が再会の才能を神様にお願いしたからでした。
最後の最後まで涙なくしては読めない最終話だったと思います。