結末

ふれなばおちん 最終回 11巻 ネタバレ注意

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ふれなばおちん、最終話 完結11巻 感想

※ネタバレ注意です※

最終話では物語が大きく収束に向かいます。

お互いへの想いを断ち切ろうと、佐伯は仕事に、夏は家のために頑張る、という生活を送りますが、心はお互いを想っており、夏は夜な夜な佐伯を想い涙を流します。

佐伯が沖縄に行く前に一度だけホテルで会うことを決意しましたが、身体の関係は拒否します。

夏の旦那さんに佐伯との関係が明るみになりそうになるのですが、佐伯も夏も「一世一代の芝居をうって」夏の家庭を守るのです。

結局夏と佐伯の関係は、手紙のやり取り9通、2人だけで会った夜1回、キス3回という、とても、とても儚い恋でした。

そして最後は佐伯が事故に会うシーンで終わります。

夏は愛する佐伯を諦め家庭を守ったのか?夏の旦那さんは自分と夏の関係性を、今回の疑惑で考えたようですが、結果どんな考えに落ち着いたのか?佐伯は夏を想い続けたまま死んだのか?

すべては作品の中で明確には描かれていません。

読者が想像をしてそれぞれの答えを出すのだと思います。

私は、登場人物がみんな自分の心を込めて大切にして行動をした結果、元あるべき状態に落ち着いたのだろう、と考えています。

人を愛する想いは素晴らしいことだ、それが例えば道に外れた恋であっても、最終話はそんな気持ちになれる展開でした。

そして人を愛するということは、様々な形があり、その形は年月とともに変化をしていくけれど、男女の場合は、何十年たっても、相手へ性への尊敬を忘れてはいけないのだと、そう思いました。

夏は佐伯への自分が抱いたとても大切な恋心を捨てたわけではないと思います。

そして子ども、旦那、家庭ももちろん捨てたわけではありません。

不倫という関係になると、まるでどちらかを選ばないといけない、という結末になることが多いですが、ふれなばおちんの最終話は、みんなが周囲の人の想いを考え、尊重し、大事にして、そして自分の想いも大切に大切にした、という結末だったように思います。

最後に佐伯の男としての成長と、旦那の夏への忘れていたけど決してなくなったわけではない恋心、周りに人のことばかり考えていた夏が、自分の想いを大切にできるようになったこと、そのすべてが表現されていました。

夏は自分の想いを大切にしましたが、決して行動には表しませんでした。

身体の関係を許さず、旦那にも決して打ち明けず、家庭のために行動をする。

そんな中でも自分の想いを大切にすることが、人生においてどれだけ素晴らしいことかを、佐伯との関係で知ることができたのだと、最終話の夏の表情で感じました。

佐伯が最後に事故に巻き込まれて、おそらく死んでしまうシーン。

あれの意味は私はまだ読み取れずにいます。

夏を想い死んでいくせつなさなのか、来世で一緒になる希望なのか…

ただ、佐伯は家庭を大切にしている夏だからこそ心から惹かれたのだと思うので、来世ではなく、今生きているこの世で夏のことを愛したのだと思います。

あの事故シーンは、そんな自分の人を心から愛した想いを、決してこの先誰にも打ち明けずに、あの世まで持っていく、そんな佐伯の覚悟を表現していたのかな、とも感じました。

佐伯の死を夏が知るシーンは描写されていませんが、夏が何を想うのか、そんなことまで想像できる圧倒的な存在感の感じられるラストシーンだったように思います。

大人になっても子どもができても母親になっても、一生女であり一人の人間である、きっと夏は佐伯との恋愛でそのことを感じることができたのだと思います。

そしてそれは、今後佐伯が隣にいなくても、夏は自分で自分の想いを大切にできるようになったのだと思います。

そんなことを想像できるので、佐伯の事故シーンはとても重要で、ラストには必要な描写だったのだと思います。


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