天は赤い河のほとり、最終話 完結28巻 感想
※ネタバレ注意です※
タイムトリップしてきたユーリは、ヒッタイト帝国の中で皇帝、皇妃、元老院という3つの権力で出来ており、その力を確固とするため魔の力を悪用する前皇妃からの命を狙われ続けてきました。
その陰謀から晴れて逃れられ、いろいろな武勲を立て、前皇妃を退けて、皇帝カイルの正妻として皇妃として立つ日がやってきました。
その前日に既に皇帝になっていたカイルからユーリに政治的な意味で皇妃になってほしいという言い方はしてきたけれど、一人の女性としてのプロポーズはしていないとカイルが言い、愛の言葉と「一人の女性として妻になってくれませんか」、というプロポーズを受け、ユーリは感激して泣いてしまい愛しい人からのプロポーズをキスをして受け入れます。
次の日、立后のお披露目のために、女官になったハディ・リュイ・シャラの支度を受けながら、その三人と「緊張する」と喋っているとエジプトからのお客様であるハトホル・ネフェルト姫がやってきて帰国の挨拶を受けます。
ハトホル・ネフェルト姫はヒッタイト帝国側にいるユーリの事が好きな男性の事を好いており、その男性はユーリの身代わりになって亡くなったばかりで、ユーリはなんて声をかけていいのかわからないところをネフェルト姫は国に帰ったら縁談なんていくらでもあると、からからと笑い飛ばします。
同時に、ユーリの背中をバンバンと叩くとユーリが少しえづいてしまいます。
焦った姫と女官たちはユーリに大丈夫か聞くとユーリは「最近、胃の調子が悪かったから」と答えたのですが、それは懐妊の兆しでは…?と喜びます。
ユーリが立后するための装いをシャンとし、式が始まります。
皇帝のカイルと共に立ち、神殿で神々の名の元に認めてもらい、皇帝であるカイルから皇妃「タワナアンナ」の位と王冠を頂きます。
ユーリやカイルが皇妃や皇帝になるために、ユーリは現代日本に帰るのを諦め、故郷を捨て、仲間の死なども乗り越えねばなりませんでした。
ユーリを「タワナアンナ」にするために多くの事を仲間と一緒にやってきたので参加していた仲間全員が感無量です。
大勢の民衆からも指示の熱いユーリは王宮前に集まった大勢の国民たちの前に立つためにカイルと共にテラスへと向かいます。
その途中にカイルに耳打ちをし、懐妊している事を告げるとカイルは喜んでユーリを抱き上げてしまい、ハディたちにユーリの体を慮って焦って止められます。
その後、テラスにカイルとユーリは出て、大勢の民衆の前に立ち、皇妃「タワナアンナ」になった、その姿を見せます。
歓声と共に迎えられ、ヒッタイト帝国は2人の統治によって最大の繁栄を迎えます。
その約150年後、ヒッタイト帝国は歴史上から突然消え去ります。
滅ぼされたとも、全土を襲った疫病のためとも言われましたが、確かな事は見つかっておらず、遺跡からは火災の跡が見つかっており、都はおそらく業火に飲まれたのだろうと予想されました。
現在、トルコ共和国の首都アンカラから東に150㎞、アナトリア高原の中央部、そこにヒッタイト帝国の都であったハットゥサの遺跡が眠っています。
最後に現在の遺跡の史跡のページで終わります。
作者様の史実をうまく取り入れ、漫画に活かすという技法がとてもうまく、読んでいるとその世界に入り込んでしまい、ユーリの戴冠式も読者の一人として仲間と一緒に感無量になります。
ただの平凡な女子学生だった主人公がここまで自分の力で上がってきたことも、カイルとのロマンスも、前皇妃との戦いも、物語として全て必要なスパイスで、最終回で、やっと一息つけ、これから幸せなヒッタイト帝国の統治や、家族を作っていくだろう事を想像して安心して見終わる事が出来ました。