姉の結婚、最終話 完結8巻 感想
※ネタバレ注意です※
アラフォーで独身、図書館の司書をしている岩谷ヨリと、その同級生で大学の講師と精神科医をしている、真木誠の二人の話の最終話です。
真木の初恋の人のヨリは、真木に惹かれて関係を持ちますが、真木はヨリと似た妻を迎えた既婚者でした。その妻も浮気をしていて、不倫相手の子を妊娠している事が分かり、真木はヨリと結婚したかったので離婚を申し入れ、やっと離婚出来ました。
ヨリの40歳の誕生日の日に、再会した日のやり直しをする二人、ここまでくるのに本当に色々あって長かったです。
ヨリは昔、真木に言われた「今まで君のために死んでもいいという男はいなかった、なぜか」という、質問の答えをようやく自分と向き合って見つけました。
「自分を愛していなければ、自分を愛している人を受け入れることはできない、だって同じものを好きって言えないってことだものね」と、答えます。
このセリフで、人との付き合い方の大切さに気付きました。
自分が自分の事を好きでなければ、自分を愛している人を受け入れる事は確かにできません。
ヨリは離婚成立を知らないので、もうただ、真木の事が好きというだけでいいと言いますが、真木は「迎えにきました」と指輪を渡します。
最初は不倫関係から始まった二人の恋愛だったので、主人公が奥さんに遠慮して、コソコソ会ったり旅行に行ったり、お見合いしたり、気持ちを断ち切ろうと他の人と結婚しようとしていたり、ずっとモヤモヤしながら読んでましたが、最終巻になりやっとモヤモヤした気持ちが晴れました。
不倫している側のヨリが主人公だったので、本来は感情移入するべきではない内容でしたが、気付けばヨリを応援してました。
やっと、まとまってハッピーエンドと思っていた矢先に、再び波乱万丈が起こります。
花井さんという真木に興味を持っていた大学の准教授が、真木がやりたかった世界的権威の講義がドイツで受けられるようになったと行ってきます。
真木は二つ返事でOKをして、ヨリについてきて欲しいといいますが、すぐには行けないヨリは2か月遅れで行くことになりました。
ここで以前からずっと好意がある事を伝えていた花井さんがドイツで真木の世話をやき、隣の部屋に住むようになります。
最終巻なのにまさかの展開でした。
会えない間に、手紙が欲しいと言っていたヨリの為に、真木は手紙を書きますが、花井さんに妨害されて手紙も届かなくなり、二人はすれ違うようになります。
仕事がひと段落したヨリは、手紙より話がしたいと、真木に電話を掛けると・・・偶然居合わせた花井さんが電話を取り「一緒に暮らしてるものです」と伝えます。
もうこれ以上、拗らせないで欲しいのですが、不安になったヨリは裏切られる恐怖を思い出してしまいます。
不安になり過ぎて、予定より早くドイツに行き、そこでまた花井さんと会う事になります。
「愛を信じすぎている」と言われて、何も言い返せなくなり、日本に帰国してからショックのあまり、真木の前から姿を消します。
読者側からは真木の感情も読んでいて見れるので、気持ちの上では花井さんの邪魔が入り、二人はただすれ違っていただけでしたが、それを本人に電話して聞けない、裏切りかもしれないと感じた時のヨリのショックが痛いほど伝わってきて、読んでいて切なくなりました。
花井さんにポストに入れてと預けていた手紙を見つけて、ようやく真相を知ることになる真木ですが、日本に戻った時にはヨリの姿はありませんでした。
ヨリの妹の家に行きますが、「人に愛されることそのものが苦しいのかもしれない」と言われます。
それから一年経って、気持ちも考えも落ち着いて一人で生きて行こうとするヨリの所に再び、真木が現れ、おつきあいからはじめてくれませんか?というセリフで完結しました。
結婚とは何かを考えさせられた漫画でした。