パンティ&ストッキング with Garterbelt、最終話 感想
※ネタバレ注意です※
本作はアニメ「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」のコミカライズですが、キャラ造形やキャラ設定・世界観等はアニメのままに、ストーリーは全編オリジナルの展開を見せてきました。そのため、最終回もアニメとは雰囲気からガラリと違う、コミックスならではのストーリーで描かれています。
最終回で特に印象的だったのは、最終回全体に漂う、パンティ&ストッキングとは思えないほどの穏やかで落ち着いた雰囲気です。最終回で主に描かれているのは、パンティとストッキングのドライブシーン。アニメでもコミックスでも、派手なアクションシーンと度を超えた下品さが特徴と言ってもいい本作ですから、最終回になって、派手なバトルシーンも特筆するほど下品な描写もない、こんな穏やかな雰囲気のストーリーが読めるとは思わず、かえって新鮮に感じました。とはいえ、特徴的なカートゥーン調の絵柄と、もはや作品にとって欠かせない要素である多少の下品さは健在ですから、作品らしさは損なわれておらず楽しく読むことができました。
また、最終回ではアニメで登場した魅力的なキャラクター達が顔を見せます。コミックスは全1巻ですから、アニメで登場した魅力的なわき役たちのストーリーを掘り下げられる余裕があるとは思えず、最後までタイトル通りパンティとストッキング、ガーターベルトと時々チャック、という登場人物だけで通すものだと思っていました。(というより、パンティ、ストッキング、ガーターベルトの主要キャラクター3人が濃すぎて、他のキャラクターが一切登場していないことにも最終回まで気が付かなかったくらいですが…。)
しかし、最終回ではアニメでの主要キャラクターであるブリーフに加え、宿敵であるスキャンティ・ニーソックス姉妹の姿もコミックスで見ることができたのでとても満足です。せっかく登場したにも関わらず、3人ともに「パンティとストッキングが運転する車に轢かれ、しかも会話することもなく去られる」というシーンしか与えられていない雑さというか、おざなり加減も、かえってこの作品らしいと感じてクスッと笑ってしまいました。
また、パンティ&ストッキングとの絡みはほぼ無かったにしても、主人公たちのブリーフとスキャンティ&ニーソックスへの扱いや彼らのセリフには彼ららしさがあふれており、中でもブリーフは「いつもの容姿」に加えて自然な流れでブリーファスとしての素顔も描かれていたことに感動してしまいました。また、私は個人的にスキャンティ・ニーソックス姉妹が好きなので、姉妹らしい会話をコミックスでも見られたことが嬉しかったです。
アニメでは不穏な雰囲気を残したまま幕を下ろした本作ですが、コミックスでは彼女たち本来の仕事を全うする様子もなく、人気わき役たちを車で踏みつけながらおつかいだけをこなして終了。この先に悪いことが起こるという予感すら残さない終わり方に、どこかほっとしました。オチに下品なギャグを持ってくるところもご愛嬌です。
また、アニメのコミカライズというとどうしても気になってしまうのが、アニメと絵柄の違いですが、本作は全編を通してアニメの特徴的なカートゥーン調の絵柄で再現されており、その高い再現度はキャラクターだけではなく背景にも及んでいます。最終話で登場した私のお気に入りであるスキャンティ・ニーソックス姉妹も、アニメのキャラデザをそのまま白黒にしてコミックスに落とし込んだようなクオリティで、満足度が高かったです。シースルーまでもがその高い再現度で描かれていることに感動しました。
アニメとはかなり毛色が違う最終回でしたが、ストーリー・絵柄ともに、アニメファンにも満足のいくクオリティでした。