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結末

マリーン 萩尾望都先生 ネタバレ注意

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マリーン 感想

※ネタバレ注意です※

萩尾望都氏にしては、線の太い描き方で、いつもと違う印象を受ける作品です。ただ、一人の少女をのぞいて、登場してくる人物はみなキャラクターが強いのです。

時代は60年近く前の英国でしょうか。

いかにも労働者階級の少年といった風体の男の子、大きなキャスケットをかぶり、ぶかぶかなオーバーやズボンをまとったエイブが、町の悪ガキたちにいじめられています。

いつものことというような、抵抗をこころみるも彼の表情には、あきらめがよぎっています。

この作品は、根強く固定された身分の差というものにも、光をあてています。

雪の降るなか、外套もなく妙に薄着の長いワンピースを着た少女が不意にあらわれます。

石畳の上でかがんでいる二人の体の上に雪がしんしんと降っていくシーンに、静けさがあります。

この少女の姿だけは、線がなぜかとても細いのです。

お金をなくした少年エイブの手のひらに、きらめきを帯びた少女のイヤリングが流れるように置かれました。

波の形を模したデザインのイヤリング、これがこの物語のキーアイテムなのでしょう。

エイブは、病気の母親のかわりに、富豪のペイトン家で下働きをしています。

その生活に疲れるたび、浜辺に座り込んで、気持ちを安らがせるのです。

すると、どこからともなくあの少女があらわれ、二人のまわりは不思議な光で包み込まれます。

そして、片方だけのイヤリングをエイブに託していきます。

母を亡くしたエイブは優秀であるということもあり、雇い主ペイトン氏の人材投資という利己的な思惑も重なり、名門学校にすすむことになります。

次第に彼は自信をつけていきます。目つきも強まり、ペイトン氏の娘の嫌がらせ(実は愛情)にも容赦しません。

テニスの才能を見出され、どんどん力をつけていくエイブ、成長して一人の男性として生き生きと毎日を過ごしていく彼の前に、ふとあらわれる少女マリーンは初めてあったときから、姿がまったく変わりません。

服装もいつも、長いロングのワンピース、まっすぐの長いヘアは風になびくこともないのです。

プロテニスに入り、どんどん活躍していくエイブはついに世界チャンピオンになりますが、

あの少女の身分を知り、そしてある貴族と婚約をしていることも知らされ、愕然としています。もちろん、イヤリングをくれた少女マリーンへの、強い愛情もあるのでしょうが、出会ったときから、少しも変わっていない彼女の姿にも釈然としないものもあるのです。

そして、結婚披露パーティーが開催される帆船がいくつも付属された豪華客船に招待されます。その場所での身分差別的なあつかいに、毅然とした態度でエイブはそれをはねかえします。まるで、彼の豪快で、かみそりのようなプレイのように。

マリーンの結婚相手に勝負を挑まれ、テニスの試合を始めます。そこにあらわれたマリーンは、今まで見せたことがなかった驚きの顔をします。眼の色があきらかに生身の人間のものなのです。

これが、現実に生きていたマリーンとエイブの初めての出会いなのです。物語はここからが始まりだったのです。マリーンは確かにその瞬間からエイブを愛したのでしょうが、エイブと一緒に生きる時間はまるで、交錯することはなかったのでしょう。マリーンは愛のために身分を超えることはできなかった、海に身を投げることが彼女に与えられた運命へのせめてもの抗いだったのです。

そして彼女は自分の昇華できなかった想いのために、永久に時を逆行して、この世を漂っていく運命なのかもしれません。

ふたたび、満たされない想いを抱きエイブの過去に姿をあらわすのでしょう。

エイブも残されたイヤリングだけを頼りに、これからマリーンの面影だけを追う人生となっていくのでしょう。

永久に彼らの想いは報われることはありません。ひょっとしたら、エイブがマリーンと同じ世界に旅立ったときに、成就するときがくるのかもしれません。


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