リストランテ・パラディーゾ、最終話 感想
※ネタバレ注意です※
美味しいお食事と、素敵な老眼鏡紳士たちの、行き届いたおもてなし。
「カゼッタ・デッソルロ」は、そんな素敵なお店です。
主人公のニコレッタはオーナー夫人の娘で、お店で働く新米スタッフ。
彼女と母親の確執や、恋する「クラウディオ」への、敵わぬ恋心など……。
色々な問題がありましたが、それらに一応の決着が着いたのが、最終話でした。
そもそもニコレッタの母親・オルガは、娘を親に預けて再婚し、新しい夫に娘がいることを隠し続けています。
遠くに住んでおり、娘に会うのもたまのこと。
捨てられたと感じたニコレッタは母親を恨み、全て再婚相手にぶちまけるつもりだったのですが……。
彼がオーナーを務めるお店に魅了され、スタッフとして働く代わりに、娘だとバラさないと約束します。
母親の再婚相手「ロレンツオ」は、おっとり優しい、クマのような紳士。
彼がなぜ、子持ち女性との結婚を避けようとしたのか……その理由を知り、ニコレッタの気持ちも変わっていきました。
そして恋に弁護士の仕事にと、常に全力投球な母親の姿も。
傍で見ることで、恨んでいた母への気持ちも、少しずつ変わっていきました。
かまって貰えなかったのは忙しさのせいだと、素直に納得できるようになったのです。
そして最終回、ニコレッタは「もういいか」と、母親を許します。
オルガの誕生日パーティーで、特製のケーキを作ったニコレッタ。
「誕生日おめでとう」と娘に言われ、母もまた、自分を変える決心をしました。
皆の前で、「このケーキ、私の娘からのプレゼント!」と告白したのです。
皆もビックリしたけど、娘のニコレッタもびっくり。
そしてロレンツオは二人が母子だと、ちゃんと気付いていました。
変わらない彼の愛情を知って、大泣きするオルガ。
晴れて娘だと公表されたことを、「やっぱり嬉しい」と呟くニコレッタ。
そんな彼女を、クラウディオは優しく労ります。
祖父のように年が離れているけど、落ち着いていて優しくて、紳士で……でも、時々頼りない。
そんなクラウディオに、惹かれてしまったニコレッタ。
断られてもアプローチをやめないところは、実は母親似なのかも?
そんなクラウディオも、別れた妻「ガブリエッラ」への想いへ、決着をつけました。
離婚後も外せなかった指輪を彼女に返し、「また店に来てくれ」と、穏やかに告げたクラウディオ。
離婚、再婚、新しい恋……。
中年や初老が多い本作には、人生に躓いてもやり直そうとする人達が、よく登場します。
不器用で、迷ったり落ち込んだりしても、その都度なんとか乗り越えていく……。
そんな姿が、いっそう親近感を持たせるのかもしれません。
お店のスタッフたちも、若いニコレッタを応援したり、時々背中を押したり。
特に印象的なのは、ソムリエの「ジジ」。
食いしん坊で、いつももぐもぐ食べていて、何を考えているのかよく分からない。
でも実は思慮深くて、思いやりがある人物です。
ニコレッタがオルガの娘だと気付いていて、黙っていてくれましたし。
彼とオーナーのロレンツオは、実は腹違いの兄弟。
二人の父親は兄弟でしたが、母親を巡って争い、絶縁していました。
それでも今同じ店で、仲良く働いています。
彼らの姿を見て、ニコレッタも色々考えるところがあったみたい。
ジジは最終回のパーティでも、マイペースに美味しいものを食べていました。
ちなみに、一番最後のシーンは市場。
店が定休日なので、料理をしようと買い物をするニコレッタ。
オルガに指輪を返したクラウディオと、偶然遭遇します。
指輪が無いことに気付きアプローチしますが、やんわり断られ……そこでしつこくせず、「じゃあ、荷物持ってくれる?」と一歩下がるニコレッタ。
なんとも言えないやり取りが、良いなあ……。
やみくもに求愛するワケじゃない、距離を測ってる感じが、良い女ですよね。
ニコレッタ、これからが楽しみな女の子です。