屋丸やす子さんの連載作品「ぬいに恋していいですか?」の最新話が読めるLaLa(月刊ララ)は、毎月24日に発売です
同時配信の電子版が便利でオススメ!
もくじ
最終話 2巻 LaLa 2024年7月号
出版社 白泉社/2024年5月24日 発売
君ノ声 / 1巻 -今だけ無料-
2024年2月1日まで
『時は大正 皐月の頃』
「いやあ 参った参った」
「待たせてしまって申し訳ない」
「今日の商談 よろしく頼みますわ」
「ええ」
「こちらこそ」
「時代は変わる」
「人々の需要も変わる」
「それでもやはり」
「生糸は強い! 儲かる!!」
「いいところに目をつけて 商売 始められましたなぁ」
「ありがとうございます」
「羨ましいかぎりですよ」
「うちは先日 子供が生まれたんですがね いやあ もう 大手勤めとはいえ食わすので一杯一杯ですわ」
(赤ん坊はすぐに大きくなるからなぁ どこかの店で可愛いかんざしでも買って帰るか)
「素敵なお父上だ」
「たしかに お子様のためにも一層仕事に励まねばなりませんね」
「そう! ですからね」
「お宅の商品 買い取り決めましたわ!」
「取引は相場にならった額ということで」
「ね」
(いいよな 若造)
(まっさか これほど上物の絹 扱ってるとは思わなんだ)
(本来なら相場の倍以上の価値だぞ これ)
「よくわかってらっしゃる」
「さすが」
「大手の方は目利きが確かだ」
「感激しましたよ」
「特別に 相場の倍の価格でご提供させていただきましょう」
「えっ!?」
「それでは 私はこれで 契約書の記入お願い致します」
「ここから先は私が」
「そうそう」
「その角の近江屋さんという店 おすすめですよ」
「そこでなら」
「お嬢さんに似合うかんざしがきっと見つかります」
「ありがとうございましたー」
「え? 京極さん!?」
「……あれ?」
「何だ今の」
「どういうこと――…?」
「フ…」
「フフッ」
「ダ――ッハッハッハ 大手だからって調子に乗るからだ」
「バァ――カ」
「あれこそ! 無様!」
「極まりなし!!」
「さすがです 社長」
「これでまた取引先が増えましたね!」
「今や新進気鋭の敏腕社長 心理戦ともいえる商談では 狙った契約を百発百中」
「ほんとすごいっす 一成さん!!」
「社長と呼べ」
『そりゃそうだ』
『俺は』
(すごい)
(かっこいい)
『他人の心の声が聞こえるんだからな』
『生まれたときから ずっ…』
(あぁ~)
(早くああなりてえ)
(シュッとしてスッと仕事をこなす俺)
(かっこいい!!)
『ちょっ こいつウルセェな!!』
『言葉と心に裏表のない人間は極々わずか』
『大抵は あんな奴ばかり』
“「私は」”
“「あなたの味方よ」”
“「何があっても」”
「社長?」
「あ…? どうした」
「聞いてなかったんですか!? 諏訪部家との縁談 先方から承諾のお返事 頂きましたって話です」
「なに!? 本当か!!」
「ただ…」
「その」
「お相手のご令嬢」
「口がきけないみたいなんですが…」
「馬鹿 俺はそんなこと気にしないぞ」
「一成さ…」
「諏訪部家といえば指折りの大地主」
「俺の目当ては その資産と! 人脈! のみ!!」
「繋がりができるなら相手が熊だろうと何だろうと結婚してやるさ!」
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