おひとり様物語　最終回 / 結末 【無料 ネタバレ あらすじ】

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

2022年7月22日まで

《京都府 左京区》

「それじゃ 俺は失礼します！」

「イチ君 最近ずっとシフト入ってくれてるけど　　大丈夫なの？ きみ学生でしょ？」

「はは 大丈夫っすよ　　じゃ俺 次もあるんで」

（さすがに そろそろ　　身体に来たか…）

『甲斐田 一虎(かいだ いちご)　大学１年(19)』

『灰色の空に 湿気った空気』

（雨で荒れる鴨川と…）

「――ん？」

『荒れる鴨川に』

『捨てられた犬が　　１匹』

「…手紙？」

「――…」

「「舌の肥えた犬です 手に負えません…　　パンが好きらしいです 与えてください　　名前は――」

「コッペ・パン」」

「――お前… “コッペ・パン”て言うの？」

「わふ！」

『これが俺とコッペとの出会い』

「――で　　連れて来ちまったと」

「イチ… おめえ 思い切ったことすんなぁ」

「すんません 親方…」

「まーうちはいいけどよ …お前んとこのマンション　　ペット禁止じゃなかったか？」

「腹…空かせてたみたいなんで」

「――ほら パンだパン「食パン」」

「！」

「おお 反応してる！」

「…」

「…」

「ま 手紙にも 舌の肥えた犬と書いてあるしな…」

「おう どーした　　パンだぞ パン　　志津屋の食パンだ」

「…」

「…」

ふぅ･･

「ちょ… 今こいつ 溜息ついた！！」

「んだこの犬 かわいげねぇー！！」

ぐぎゅるるるる

「食えよ！ 腹へってんじゃねーか！」

「もしかしなくても こいつぁ…　　問題ありで捨てられたぽいな　　飼い主が何度か替わってるらしい」

「どーすんだ これじゃ貰い手も困るぞ」

「つ…ツテを当たって…」

「ツテって お前」

「大学に友達１人もいねぇじゃねーか」

「はうﾞっ」

「イチ…　　この際だから言っておくがな…」

「おめぇ… 先日 伯母さんが亡くなってから 働き詰めじゃねぇか」

「…飯は？ 毎日どうしてんだ」

「まさか 俺んとこの まかないだけって訳ねぇだろうな…！」

「や まさか！！ 大丈夫っす　　学生でバイト漬けなんて よくあることっすよ……」

「とりあえず今日 犬は連れて帰るんで！」

「バカヤロー…」

「飼えねえとわかってる犬 拾ってくるほど　　無謀じゃなかったろうが…」

「…」

ぐるる･･

（ほんと…　　なにやってんだ 俺）

『２週間前――』

『俺を京都へ引き取り　　育ててくれた大切な人…』

『伯母さんを亡くした』

［イチ　　学校へは行き続けて　　約束］

『遺言　大学　先の生活費』

（卒業までの学費は 伯母さんが用意してくれてた　　残った金は… あまり使いたくねぇし）

『けどもう拾っちまった…』

（情に負けた…　　どうすんだ これから）

『今は自分のことで精一杯』

『犬の面倒なんて 見られる訳がない』

（くそ… バカだ）

『そう』

『…犬の面倒なんて』

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