麗しのサブリナさん、完結 全1巻 感想
※ネタバレ注意です※
佐舞沢 里奈(さぶさわ りな)22歳は、見た目は 正直まったく美しくなく、作中で何度も「ブス」と言われるような女性です。
本人は「サブリナ」と呼んでほしがるけれど、同僚で友人の“るりるり”がつけた「サブちゃん」という呼び名の方が、ど~考えても ピッタリな顔立ち。
だけど サブちゃんは、何故か自分に ものすごい自信を持っている、超ポジティブ人間。相手が何を言っても 都合の良いように解釈します。
とにかく思い込みが激しいし 仕事はしないし、周りからすれば かなり困る存在と言えるでしょう。
そんな彼女が恋をした相手は、同じ会社で働く 営業部の王子さん。
運命的な出会い(とサブちゃんは思い込んでいる)を果たし、猛アタック。というか、王子さんが「アタシの運命の王子さま」と信じ、王子さんも「絶対アタシに ひとめぼれしちゃってる」と思い込んじゃいました。
王子さんは 昔、嫌な事があったせいで「ブス」が嫌い。それなりの理由があって トラウマ的に嫌ってしまうだけなので、決して 悪い人ではないのですよね。
どんなに嫌がられても くじけない(嫌がられてる事に気づいてないだけだけど)サブちゃんは、男を見る目ある! ってことでしょうか。
サブちゃんは 他の男性、殿下さんという 関西弁の俺様キャラ?っぽい男性の事も 気になってしまい、当然のように “殿下さんもアタシに気がある” と思い込んでいるけれど、やっぱり本命は 王子さん。
しかし、王子さんと殿下さんの友情(本当は仲悪い)を壊したくない サブちゃんは、「アタシ 今はまだ二人のモノでいてあげる…♥」という自己完結の結果、妙な三角関係!?!が始まります。
サブちゃんは 本っ当~に、どこまでも ポジティブで、まったく人の話を聞いていないところに 読んでいてイラッとしちゃう事もあるけれど、だんだん それがクセになるし、それでこそ サブちゃん! と思うようになるのです。
王子さん・殿下さんも そんな感じなのでしょうね。
最初からサブちゃんの魅力に気づいていたのは るりるり。自然体ナチュラル超美人の るりるりも、すごく良いキャラしてます!
紆余曲折を経て、王子さんも サブちゃんを好きに…なんて事にはならず、嫌がっても嫌がっても サブちゃんは好意を寄せてくる。
そんな中、実は 会社の社長の娘だったサブちゃんには、とんでもない秘密がある事が判明しました。
なんと 心から愛する男と口づけを交すと、その瞬間に 絶世の美女の姿に生まれ変わる、という 超設定。
昔は サブちゃんと瓜二つだった お母さんが、今は ものすごい美人なので、本当の話です。
結局 顔なのか!?! というツッコミを入れたくなるところですが、全1巻なので “散々 引っ張ってきたくせに…” という長さでもないし、ずっと ギャグ路線で突っ走ってきていたので、個人的には しっくりくるオチでした。
そして 何より、サブちゃんは 別に “好きな人とキスすれば美人になれる” から自信を持っていたわけではないところに、とても魅力を感じます。
サブちゃんは、今の自分の姿に自信を持っていて 超絶ポジティブ。それでこそ サブちゃん!!!
さらには、キスすれば絶世の美女になるし 社長令嬢、という好条件が発覚しても、王子さんは 最後まで「ブスは無理!」だった その一貫性が良かった!
とにかく面白い作品で、もし 2巻とか続刊が出たら、ぜひ読みたいです。