テトテトテ｜最新話11話【無料】ネタバレ

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

2023年3月30日まで

『リゼル国　　年に一度の精霊祭』

『建国の女王である初代賢姫　　彼女に恩恵を与えた精霊を称えるお祭り』

その特別な日に

「アイリス」

「そなたとの婚約を解消する」

わたくしは自由になる

「はい よろこんで」

「―――……　　よろこんで！？」

「はい」

「俺は婚約破棄を――…」

「はい」

「み 未練とかないのか！？」

「未練？」

「ザカリー王太子殿下にはあるのですか？」

「へ！？」

「わたくしとは望まない政略的婚約だった」

「だからこそ」

「ヘレナ様との逢瀬を重ねておいでなのでは？」

「うぐっ…」

「し」

「知っていたのか？」

バレバレでしたよ

「わたくしは王太子妃となるべく育てられた―――…」

「賢姫」

「ですよ？」

“賢姫”とは

魔精霊の加護を得た女性に 国から与えられる称号である

国の象徴である賢姫は

優れた魔術の使い手であり

様々な知識を持ち合わせている

そのため 王に嫁ぐことが慣例となっていて

賢姫の力と知識を使い 王を補佐することが求められる

だからこそわたくしたちは婚約をしていたというのに

（なぜ？）

（いつからバレてた！？）

賢姫の力を見くびっていらっしゃる

そういうところですよ？ ザカリー王太子

「では」

「円満解消ですね」

「“笑わない賢姫”のそなたは…　　そのように笑うのだな」

「そうやって笑ってくれれば　　俺がヘレナに惹かれることもなかっただろうに…」

なにを言っているのかしら？ このへっぽこ王太子は

（わたくし殿下の前で笑ったこと なかったかしら？）

なかったかもしれないわね…

「嬉しければ笑う　　ただそれだけのことでございます」

「そう…か　　そなたは今 嬉しいのだな……」

「では今日 この時をもって　　婚約解消だ」

これで わたくしを縛るものは なにもない

『晴れて自由の身よ』

（―――と　　その前に）

「どなたか存じませんが　　立ち聞きは感心いたしませんよ？」

「――――ほう　　俺の気配に よく気がついたな」

「ちょっと おもしろ…」

（おもしろいって言った！？）

「興味深くて出そびれた」

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