入江喜和さんの連載作品「ゆりあ先生の赤い糸」の最新話が読める BE・LOVE(ビーラブ) は、毎月1日 に発売です
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もくじ
最終話 11巻 BE・LOVE 2022年10月号
出版社 講談社/2022年9月1日 発売
62話 11巻 BE・LOVE 2022年9月号
出版社 講談社/2022年8月1日 発売
61話 11巻 BE・LOVE 2022年8月号
出版社 講談社/2022年7月1日 発売
朱鷺色三角 2022年7月11日まで1巻まるまる無料
『かつて瀬戸内海は 海賊の天下であった』
『海賊たちは 激しい瀬戸内の潮をよみ 点在する島々を基地に 瀬戸内海を制圧していった』
『唯一つ 螢一族と名のる島主を持つ 蒼島を除いて―――』
『彼らは 幻術を用いて 海賊の接近を許さなかった という』
「霖…!!」
「短い間でしたが ご指導ありがとうございました」
「待てっ 理由を話せ! まじめなおまえが いったい どうしたんだ」
「1週間 無断欠席したかと思えば 今度は退部するだと!!」
「国体まで あと20日もないんだぞっ 強化合宿に入ろうって時に エースのおまえが抜けたら…っ」
「勝手は十分 承知しています」
「この時期に 本当に申しわけないと思っています」
「お母さんが亡くなったのは つらいと思うが しかしなっ…」
「監督」
「母のことは関係ないんです」
「おれ2度とバスケはやりません やる資格がないんです」
「霖…!!」
「おれは認めんぞっ おまえがバスケをやめるなんぞ…」
「絶対 認めんからな 霖!!」
『母が死んだのは 10日前のことだった』
『車のスリップ事故から3日 意識不明のまま 享年 37歳』
『若い頃は 売れっ子の混血モデル』
『引退してからは スタイリストとして華やかな人生をかけぬけて 彼女は逝った』
『父は とうに亡く これで ぼくは天涯孤独になったわけだ』
『少なくとも今日までは そう思い込んでいた―――』
「穂津見… 穂津見 霖君?」
「え」
「いやあ 背が高いね 丁度 良かった! 今 君の家へ行こうとしてたんだ」
「あの… あなたは?」
「ああ 失敬」
「弁護士さん…!?」
「穂津見家の… 君のお父さんの実家の顧問弁護士をしています」
「佐藤といいます」
「おやじ………? あのう 父は天涯孤独だったと 母が…」
「お母さんは そうしておきたかったんだろうがね」
「お父さんは… 霙一氏はね 穂津見という旧家の長男だったんだ」
「17年前 失踪されて 10年後に私が捜しあてた 既に亡くなっていたがね」
「君は穂津見家の直系だ 私は君を迎えに来たんだよ」
「いやあ いいお住まいだね」
「どうぞ」
「お母さんは気の毒だったね」
「母は知ってたんですか 父の事」
「ああ 穂津見家の方から 君を引き取りたいと何度も交渉したんだが 絶対 渡さない 放っといてくれと けんもほろろで… まあ 私生児では まずいから」
「籍だけは穂津見の方にね」
「それで… 母が死んだから ぼくに直接?」
「いや 実は 不幸が続くようで悪いんだが 君のお祖父さんが4日ほど前に亡くなられてね」
「遺言状の公開には 君も立ち会ってもらわなくてはならないんだが 今日まで連絡がとれず――――」
「あ…すみません おれ ちょっと旅行してて…」
「遺言状の公開と 翌日の初七日の為に 親族が集まることになってるんだ」
「お父さんには 3人の弟妹がいてね その子供さんたちも来るよ つまり君の従兄たちだ 20歳 17歳 15歳」
「年も近いね 話も合うだろう」
『おれに親せき…!? 信じられない…!』
「瀬戸内の小島だが 来てくれるね?」
「はい…!」
『親せきに従兄…』
『なんて 不思議なひびきだろう そんな物とは無縁だと思ってた』
「そうか! じゃあ一応 穂津見家の住所を書いておくよ」
『それに 東京を離れるのもいい バスケのことは忘れたい それと―――』
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