僕と魔女についての備忘録　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『――まさか』

「もっと かわいい顔 見せてよ　　まひるちゃん」

『私が』

「俺なら まひるを幸せにしてやれる」

「――まひる」

「逃げたければ逃げればいい」

「あんたが決めろ」

『資産家一族に引き取られて』

『溺愛されることになるなんて―――』

『なんで…　　こんなことに―――』

『お父さん　　死なないで…』

『お父さんに話したいことがあったのに――』

『優柔不断な私が決めた…　とても大切なこと――』

『時計職人である父は私が小さいころ 一緒に時計をいじって遊んでくれていた』

『でもそんな ある日　　母が亡くなって』

『それ以来 父の笑顔はなくなり』

『工房に引きこもるようになった』

『あのころのように 父と話したいと思いながら』

『時ばかりが過ぎてしまって…』

『それでも私は――――』

（…よしっ）

〔まひる それまだ出してなかったの？〕

〔まひるは優柔不断だからなー〕

〔あはは　　でも決めたんだ！〕

〔今日そのこと お父さんに伝えるの！〕

〔やっと決めたんだ〕

〔絶対 喜んでくれるよ！〕

『お父さんに　　笑顔になってほしかった』

〔織田！〕

〔あ 先生〕

『それだけなのに―――』

〔お父さんが〕

〔事故で意識不明らしい〕

（お父さん…）

『大丈夫だよね』

『たいした怪我じゃないよね…』

『死んじゃうなんてこと…』

『え…？ 誰？』

『いつの間に…』

「…あ」

「あなたは――」

プッ

「声 スゲー　　ガラガラ」

「しょうがないじゃない走ってきたんだから…」

（何 この人…）

「なんか飲む？」

「え…」

ズラ～～

「どれがいい？」

「えっ どれって…」

「なんで こんなに？」

「別に」

「俺の勝手だろ　　それより どれがいい？」

「えっと…」

「ど　　どれでもいいよ…」

「ダメだ」

「あんたが決めろ」

『私が…　　決める…？』

「う…うん」

「えっと…　　じゃあ　　……」

「オレンジジュース…」

「ん」

（この人… 誰なんだろう…）

『なんで私に――』

チラ…

「―――よかった」

「え…」

「手の震え　　止まったな」

「あ…」

『ホントだ…』

『あんなにパニックだったのに――…』

「お父さん…　　無事だといいな」

「え…」

「もしかして あなた―――」

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