異世界で最強魔王の子供達10人のママになっちゃいました　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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『黒系のスーツに』

『７センチヒール』

『仕事が休みの日も 子どもができてからも』

『そのスタイルは変わらなかった』

『それが一番　　わたしらしいと思ってたから』

「塔子さん」

「もうすぐ着くよ」

「大丈夫？　　退院したばっかで そんなスーツ着込んで 疲れない？」

「え？ いつもの服だけど」

「だって これからは……」

「イヤ なんでもない」

「着いたよ――」

バタン

「ここが新しい我が家です！」

「え？　　？ ？」

「ここ！？」

「そうだよー」

「ここに住むの？」

「退院したら空気のいいとこに引っ越そうねって言ってたでしょ」

「どお？ 静かでいい所でしょ」

『そうだけど』

「都心から一時間くらいだよ（高速で）　車で少し行けばスーパーもコンビニもあるし 不便はないよ――」

『確かに引っ越すとは聞いてたけど』

『今まで住んでた都心から ちょっと離れるだけ　っていうイメージだったんだけど……』

「あの ヒ…… ヒロくん」

「それに ここ すご――く安かったんだよ」

「塔子さん 今まで働きすぎで 体 壊しちゃったんだから」

「これからは静かなところで ゆっくり　　体 休めることだけ考えてね」

『ヒロくん(夫)は』

『優しい』

キイ

「家の中 見てみる？」

「………」

ガラ

「いい風 入るよ――」

（広……）

「古いけど よく手入れされてるから何もしなくても すぐ住めるよ」

「店の改装はしてるけどね　　前に住んでた人が絵描きさんで こっちはもともとアトリエだったんだって」

「キッチンを入れて 壁は自分で塗ったんだよ！　　なかなか いい感じでしょ？」

『そう　　料理人の彼は』

『ここでカフェを開くつもり』

「これからは僕が塔子さんの分も頑張らないとね！」

『確かに彼の料理の腕はいい』

『でも』

（こんな田舎に お客さん来るの？ ちゃんと採算とれる事業計画してるの？）

（ふ 不安が）

「ヒロくん あの……」

「ハナ起こしてくるねー」

「ハナ 起きてー　　おうち ついたよー」

『娘のハナは５歳』

『かわいい かわいい 一人娘』

「………」

「ダーメ」

「もう赤ちゃんじゃないんだから だっこしないよ」

「ママが抱っこするよー」

「塔子さん 疲れてるのに」

「大丈夫 大丈夫　　ハナ おいでー♡」

「………」

「ハナ じぶんで あるける！」

ぴょん

たたたた

『けど　　いまいち わたしに なついてない』

『まぁそれも仕方ないけど』

『仕事にかまけて 娘の育児は全部 夫に任せてきたし』

「庭も広いでしょー ハナが気に入ってね」

「う うん 黄色い花 満開だね」

「あ――あれ ブロッコリーだよ」

「え！？」

「ここ 元は畑だから」

（は　畑）

『でも仕事をやめた これからは　　一日中 ハナと一緒にいられる』

『きっと 距離も縮まるはず』

「今は荒れてて 草ボーボーだけど」

「いつか この畑で野菜をつくって」

「自分の店で出せたらなぁって　　この畑が気に入って この家に決めたんだ」

「はははは　畑仕事！？ 誰がするの？」

「冗談でしょ――」

『マジか』

「どお？ ここ気に入った？」

「え」

「………えっと………」

たたたた

「パパ――」

「パパみてー」

「なになに」

「みて――　　いっぱい みつけた――」

「ママにも見せてー」

「……」

「ハナ ママにも見せてあげなさい」

「……」

「なにかなぁ♡」

（どんぐりか何かでしょ？）

あおむし…

『こ』

『ここで暮らすとか』

『本気で言ってる？　　冗談じゃなくて？』

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