言えない秘密｜最終回、結末【無料】ネタバレ

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

2023年12月27日まで

「――ねぇ　　イチカ」

「僕 頑張って強くなるから」

「そうしたら　　僕と結婚してくれる？」

「この式かな？」

「うん 合ってる　　だから そのまま代入して…」

「一花　　ここにいたのね」

「……あ　　海斗も一緒だったの」

「華恋！」

「ああ」

「じゃ　　俺はそろそろ行くよ」

「一花 頑張れよ」

「うん　　ありがとう 海斗！」

『もう大学生になるというのにいつも勉強を見てくれて　　色々と世話を焼いてくれる幼馴染の海斗』

（すごく助かります…）

『そして私と年子で双子のように育ってきた　　姉の華恋』

「華恋 どうしたの？」

「ううん　ノートを貸してほしくて」

「…ってやだ」

「こんなところまで持って来たの？」

「あ　　この鏡のこと？」

『数年前　　物置で偶然見つけたこの鏡は』

『どうやら別の世界と繋がっているらしい』

『そしてこの鏡を通して』

『私は「セシル」という１０歳の男の子と出会った』

『セシルと繋がるのは いつも突然だし』

『鏡の向こうは薄暗くて声しか聞こえない』

（こんなこと信じてもらえないだろうから　　姉の華恋にしか話してないけど…）

『出会ったばかりのセシルは』

『家庭環境が悪いのか　　寂しがり屋でいつも一人で泣いていた』

『なんだか放っておけなくて　　親身になって話を聞くうちにすごく懐かれて…』

〔僕と結婚してくれる？〕

〔――大人になったらきっと　　同じ世界に好きな人ができるよ〕

〔大丈夫〕

〔僕はずっと　　イチカだけを好きでいるから〕

〔イチカ 大好き〕

〔僕は絶対イチカに釣り合うようになるよ〕

（私もいつの間にかそんなセシルが　　可愛くて仕方なくなっていたんだけど）

「最近セシル頑張っててね　　昨日は剣術の稽古で騎士団長さんに褒められたんだって」

「…そう よかったわね」

「でもその話 私以外にはしない方がいいわよ　借りていくわね」

「あっ　一花！　　いたいた」

（…私も　　頑張らなきゃ！）

『セシルのお陰で私も勉強をもっと頑張ろうと張り切っていた　　そんなある日――』

「ただいまー」

「…？」

「どうしたの？」

「一花…！！」

「華恋がどこにもいないのよ…！」

「え？」

「帰ってきて部屋にいたはずなのに　　いつの間にかいなくなってて…」

（こんな時間にどこに…）

「どうしましょう 警察に……」

「もう少し待ってみよう」

（華恋…！！）

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