林檎と蜂蜜 walk　最終回 / 結末

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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《ゆーちゃんの名前はね ボストンで 今にも生まれちゃうって時に タクシー相乗りさせてくれた人が》

《「夏を乗り切って 強い子に育つから 七月生まれは祝福される」》

《「僕の育った故郷では 七月はユーリというんですよ」》

《――って あまりにも さわやかに笑って言うから》

《ママ思わず つけちゃったのよ》

キィン

「お　　飛んだな――」

《ね ゆーちゃん　　七月生まれだから ユーリ 素敵よねぇ？》

「だったら」

「なんで こんな漢字を当てたんだろ？」

『「渋谷有利」 こんな愉快な字を当てられて　　幼い頃から からかわれなかったことはない』

「ん…？」

『あ… あれは　　カツアゲ？ 今時？』

『んで あいつ 中学の時の』

『村田健じゃん』

『目　　合っちゃったし…』

『見なかった事にすりゃいいんだろうけど』

『ダメだ』

『おれ こーゆーの』

「お前ら」

「何 集団で違法行為 働いてんの？」

「ああん？ あー お前…」

「渋谷か？」

そろ―――り

ダッ

「あっ」

「逃げた！？」

「おい…　　オメーのせいだぞ なんとか言えよ 渋谷有利！」

「じゃあ 原宿は不利なのかよ？」

「その決まり文句は 生まれて１５年で 推定５万回は聞いたぞ！！」

「ンなこと 聞いてねぇんだよ！」

ガスッ

「ぐ…っ」

「だいたい どーして オメーがあいつ助けに来ンだよ」

「るせ…っ 健て名前が気に入りなん…っ」

げほ げほっ

「じゃ 立て替えてもらうぜ――　　ん？」

「なーにーこーれー」

「しけてんなー ２千かよー せめて２万だろ」

「シブヤちゃーん 個室へいらっしゃーい」

「え？　　こっち 女子トイレ…！」

〔ガチャ〕

『まさかまさか』

『便器に頭突っこんだりは しないだろうな？』

『１０年前の不良じゃあるまいし…！』

がっ

「今後のサンコーのために教えといてやるけど――ぉ」

「オレらのジャマすっと　　殺すぞ？ 次はマジで」

「はなせ…っ！」

『やべ』

『もうダメ…』

ばしゃ…っ

『な…　　なんかおかしいぞ このトイレ！！』

『す　　吸い込まれ…！！』

『史上初？　　ねぇ おれって 史上初』

『水洗トイレに流された男ぉ――！？』

「ねぇ パパ」

「なんでいつも ゆーえんちにくると この のりものにのるの？」

「なんだ 有利はこれが嫌いか？」

「きらいじゃないよ だいすきだよ！」

『そうだ この感覚　　小さい時 よく乗った あのアトラクションに似てる』

「そうか」

「じゃあ また乗ろうな」

「いつかお前が大きくなった時に 絶対これが役立つから」

『星々の中を 縮んだり 引き伸ばされたりしながら』

『ワープし続ける あの感覚――――』

ぴちゃ…

「……………」

「………………」

「ここは…？」

「なんだ この風景…？」

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