37.5℃の涙　最終回

◇１巻 まるまる 無料◇ほぼ毎日 更新◇

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「アイリーン・オークウッド！　　またお前か！」

「何故お前は いつもこう問題ばかり起こすんだ！」

「今月であの子 四回目よ」

「何なのかしら…」

（…何故も何もないわよ）

『この世界は こういうシナリオなんだから』

『私には前世の記憶がある　　お菓子作りが趣味の ごく普通のＯＬだった私は』

『入社当初から憧れの人だった 加護社長が甘いものが好きだと知って』

『あの日 手作りのシフォンケーキを差し入れようとしていた』

『同僚の里奈に嫌がらせを受けたはずみで エスカレーターから転げ落ち』

『結局　　渡すことは叶わなかったけど』

『最後に目に映ったのが あの人で』

『最後に聞いたのが あの人の声で　　私はとても幸せだった』

『今でも私は 時折思い出す』

『あの時 加護社長は どんな言葉を紡ごうとしたんだろう――』

「おい！ 聞いているのか！」

「――はい　　一応聞いてはいます」

「ふざけるな！」

（危ない… 今は思い出に浸ってる場合じゃなかったわ…）

（『桃色ワンダーランド』のシナリオに集中しなくちゃ！）

『もう十回くらいは呼び出されているはずだから　　きっと もうすぐね』

『来たる退学イベントは――！』

『桃色ワンダーランドというのは私が前世で夢中になっていた 恋愛シミュレーションゲームのこと』

『そして転生した私が 今生きている世界』

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